第14話 家具屋のラミット

カレアの案内で家具が売っている店舗に到着する


翠「ここ?」


カレア「はい、ここだと思うんですけど…こんな外見綺麗だったかな…」


翠「じゃあ入ろうか」


カレアの案内によって訪れた家具屋と思われる店舗は外見だけでも高そうだとわかるような造形をしていた。このときカレアは店の改装でもしたのかと考えていた


???「いらっしゃいませ!!」


翠「すみません。家具を探してるんですけど…」


???「具体的にはどの様な物をお求めでしょうか?」


翠「椅子とか机ってありますか?」


???「はい!勿論御座います!」


翠「ではそれを見せて貰ってもいいですか?」


???「畏まりました。ではこちらへどうぞ!!」


翠達は入り口とは反対の奥の場所へと案内される。入り口には比較的庶民でもギリギリ手が届くぐらいの値段のものが置いてあったが、奥に行くにつれて値段が高くなっていた


???「申し遅れました。私はこの店で働いているラミットと申します。ここは椅子や机が置いてある場所となっておりますが、希望の物などは御座いますでしょうか?」


事前に何が必要かを考えていたが翠はラミットの質問に素早く答える


翠「え〜と、食堂に置く縦長のテーブルを1個、そのテーブルに必要な椅子を20席、食堂に置く丸机10個、丸テーブルに置く椅子を60席、個人部屋に置く机を20個、個人部屋に置く椅子を20席でいくらぐらいになりますか?」


ピーの演算能力によってあの屋敷に必要な机や椅子などの家具の個数が算出されていた。翠には言っていないが用意するもの全てが所持金内に収まる計算が行われていた


使用人達「……」


ラミット「…え、あ、はい。え〜と縦長のテーブルですと1脚で白金貨3枚、縦長用の椅子が20席で白金貨2枚、丸いテーブルが10脚で白金貨3枚、丸いテーブル用の椅子が60席で白金貨3枚、小部屋に置く机が20脚で白金貨1枚、小部屋に置く椅子が20席で金貨4枚以上で合計白金貨12枚と金貨4枚になります」


翠「じゃあそれでお願いしてもいいですか?」


日本円で1240万円か。最近金銭感覚が狂ってきてるな。でも陛下も来るからこれぐらいじゃないと駄目だよね。それに偶然手に入れたお金だし、ちゃんと経済を回さないとね


ラミット「あ、ありがとうございます!」


カレナ「え!?」


カレア「え!?」


レイ「!」


カリン「?」


翠「ん?」


カレア「購入するんですか翠様!?」


翠「え?買おうと思ってるけどなんかダメだった?」


カレア「えっと…私が案内したお店でこんなこと言うのは変なんですけど…このお店少し値段が高いなと思いまして…」


翠「まぁ確かに…でもカレアって前に来たことがあるんじゃなかった?」


カレア「はい。ただ私が昔来たときはそんなに高くなかったと思ったのですが」


ラミット「多分それは前のお店のことだと思います」


翠「前のお店?」


ラミット「はい。私がここにお店を建てる以前に建てられていたお店のことだと思います。確かどこかの街に移店したとかで」


カレア「そうなんですか!?」


実際にカレアが以前に来たことのある店は、ラミットの言う通り、この店ではなく移転する前の店であった。その時の相場は高くても金貨1枚程度であり、ほとんどの商品が銀貨や銅貨程度の値段であった


カレナ「でも凄いですね。続けて同じような店が建つなんて!!」


翠「確かにそうだね!」


ラミット「それはこの土地が大きいというのが1番の理由だと思います。この職種だとやはり広い土地が必要になりますから」


カレア「でもどうしますか?結構お高いですけど」


カレナ「他のお店探しますか?」


こんなに大量に買ってくれるお客様を逃したくなかったラミットが慌てた目で翠を見て、引き留めようと試みるが翠には店を変更する意思はなかった


翠「いや、ここで買おうかな」


カレナ「良いのですか?」


翠「うん。少し高いけど質は良いし、買えない額じゃないから。それに陛下や貴族達も呼ぶから、それなりの質の物を揃えないといけないしね…」


ラミット「へ、陛下ですって!?お客様国王陛下とお知り合いなんですか!?」


翠が陛下に面識があるという情報を会話の中から得たラミットはとても驚いた表情を浮かべ、翠へと話事の真相を伺う。市民が陛下や貴族の名を嘘や冗談で語ることは犯罪とされている。もちろん通常の会話などでは問題ないが、商売などをする際に陛下や貴族名を用いて商いを行なおうと考えた者が過去にいたため、このような罰則が出来たのである。実際に自分は陛下や貴族と知り合いだと周りに言っていたとして、もしそれが虚偽であった場合、陛下や貴族に悪影響が起きた場合は不敬罪で処罰されることもある。罪の重さによって刑罰は異なるが重いものでは即処刑もあり得るのである


翠「あ、はい。一応」


ラミット「なるほど。であるならばこのぐらいの品質は必要かと!!それにこの店の商品は貴族様もお求めになることもあるんですよ!」


ラミットの翠への評価は最初から高かったが、陛下や有力な貴族と関係が築けているという話から翠への重要度を何段階か上げる。そのためより丁寧に、より慎重に接客しなければと考えるラミットであった


翠「もしかしてこの店って結構敷居が高い感じですか?」


ラミット「そうですね。一応家具店の中では高い価格帯を取り揃えております」


翠「そうなんですか?まぁ良い物が買えるからいいかな!じゃあ買いますので支払いをお願いします」


ラミット「かしこまりました。縦長のテーブル1脚で白金貨3枚、縦長用の椅子が20席で白金貨2枚、丸テーブルが10脚で白金貨3枚、丸テーブル用の椅子が60席で白金貨3枚、小部屋に置く机が20脚で白金貨1枚、小部屋に置く椅子が20席で金貨4枚以上で合計白金貨12枚と金貨4枚になりますが、こんなにたくさん買ってくださるので金貨4枚ほど引かせて貰い、白金貨12枚でいかがでしょうか?」


翠「はい問題ないです。ありがとうございます!」


翠はラミットに即決で白金貨12枚を渡す


ラミット「あ、ありがとうございます」


翠「あ、これ買ったやつってどうやって運ぼう…」


ボックスに入れるか…全部入るかな?


ラミット「そちらの方は問題ないです。私共がお客様の指定の場所にお届けします!」

  

翠「へぇ良いですね!追加料金とかはかかるんですか?」


ラミット「いえこちらもお値段に含まれておりますのでご心配なく!!この紙に指定の場所の住所を書いて頂いてもよろしいですか?」


翠「はい」


値段は張るが対応の良いラミットや貴族も買いに来るという点から、翠は次回からも必要なときはこの店を利用したいと考えていた


翠「今度何必要な物があったらここで買っていいですか?」


貴族の人達が使ってるなら間違いないしね


ラミット「是非!」


支払いを終えた翠はお店を出ると外で待機していたレイとカリンに呼びかける


翠「レイ、カリンいくよ?」


翠はレイとカリンに手を差し出す


レイ、カリン「はい!」


元気よく返事をすると、レイとカリンは差し出された手を握る。その後カレナとカレアにも呼びかけた


翠「カレナ、カレア」


カレナ、カレア「はい!」


カレナ、カレアもレイとカリンの手を取り、5人並んで手を繋ぎながら次の場所へと向かった


         第14話終わり

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