第12話 適材適所
クリケットが既に契約交渉を済ませた家事ができる10人の奴隷達を部屋まで連れてくる
クリケット「話はお済みですか?」
翠「お待たせして申し訳ないです。お陰様で無事終わりました」
クリケット「それは良かったです!では契約の方に移らせて貰っても宜しいでしょうか?」
翠「はい。お願いします」
その後クリケットさんの隷属契約魔法によって、奴隷の主人を翠へと変更し、奴隷達の左手には奴隷の紋章が表れた。隷属魔法は発動されると紫色の眩しいほどの光が部屋を覆いつくすが、痛みもなく、すぐに手の甲へと紋章が反映されていた。その後皆を連れて陛下から貰った屋敷へと向かった。屋敷へ到着すると奴隷達は屋敷がとても大きいことに驚く。奴隷達を連れ屋敷に入るが翠は屋敷に家具や椅子や机もないということを忘れており、全員で立って話すことになった
翠「ごめんね。まだ家具とか買ってなくて…えっと…まずは自己紹介からして貰おうかな」
アルフ「では私から、改めまして私はアルフと申します。以前は村の村長の息子として皆をまとめていました」
アリア「私はアリアと申します。理由があって借金奴隷となりました。一応簿記や経理などをやっておりました」
奴隷「私はカレンといいます。以前は家事全般の仕事をしていました」
奴隷「僕はロットといいます。自分も家事全般の仕事をしていました」
奴隷「俺はアレクサンダーだ!店で酒飲みまくってたら金が無くなっちまってな!!払えなくて奴隷にされちまったガハハハハ。まぁ力仕事とか狩りなら俺に任せろ!」
奴隷「お前主様に失礼だろ!申し訳ありません。このバカが失礼を!…私はアルバートと申します。このアレクサンダーとは同郷なのですが、こいつの借金を肩代わりしようとしたんですが、払い切れず私も奴隷となりました。以前は狩りなどの狩猟をして生活をしていました」
奴隷「私はカレアと申します。以前は学園で勉学を習っていました。事情があって借金をしてしまい奴隷になりました」
奴隷「私はカレアの妹のカレナと申します。私も以前は学園で勉学を習っていました」
奴隷「私は……ミズキと言います。以前は…本を読んだり…薬などを販売して生活していました…」
奴隷「私の名前はアリサです!!私も以前は家事全般の仕事をしていました!」
イヴァン「私はイヴァンと言います。獣人族の里が襲われ、妻と共に奴隷商に売られる形で奴隷となりました。以前は里で狩猟をして生活していました」
本来であれば、イヴァンが無理矢理奴隷にされたということは王国の法律であれば違法奴隷に当たる。だが、違法奴隷の条件として国家と平和条約を結んでいる必要があり、獣人族はこの国と平和条約を結んでいないので違法にならないのである
ミーナ「私はイヴァンの妻ミーナといいます。私も以前は家事全般と狩猟の手伝いをして生活していました」
レイ「…僕はレイです。お母さんの料理を少し手伝っていました…」
カリン「…レイ兄の妹カリンです。よろしくお願いします。私も少しだけ…料理の手伝いをしていました」
翠「うん分かった。皆宜しく」
奴隷達「はい!」
それぞれの生い立ちや名前などの自己紹介を終える奴隷達。翠は聞いた性格やスキルから判断し、役職を与えようと考えていた
翠「それじゃあ早速だけど役割を与えるね。アルフは皆をまとめるリーダー、まぁ簡単に言えば執事長をお願いしたい」
アルフ「リ、リーダーですか!?私には無理です!!」
翠「君ならできるよ。奴隷商で最初に質問してきたの君だっただろ?あれってとても勇気がいることだと思うんだよね。皆をまとめるのも上手そうだし、君が一番リーダーに適任だと思ったから選んだんだけど…」
アルフ「ですが…」
アリア「やりなさいよリーダー」
アルフ「アリア…」
アリア「私も貴方が一番向いてると思うわ!それに主様が決めたことに口を挟む気はないわ」
アリアの言葉を聞いたアルフは周りを見回すと他の奴隷たちも頷いてアルフがリーダーになることを認めていた
アルフ「…分かりました。頑張ってみます!!」
翠「うん。頑張って!じゃあ次はアリア、君はアルフを陰ながら支えてくれるかい?役職的には副リーダー的な感じになるかな。やってくれるかい?」
アリア「畏まりました主様」
アリアはアルフと同じ奴隷商にいたため話す機会が多く、互いの気持ちや信頼感と言った感情もわかるようになっていた。それに身近な知り合いがいた方が仕事が捗るというのが本音であり、この決定はアリアにとっても喜ばしい事であった
翠「それと同時にこの屋敷の経理もして欲しいんだ」
アリア「け、経理ですか!?」
翠「うん。それも君に頼みたい。この中で唯一簿記や経理の経験があるのは君だけだからね」
アリア「でも…」
翠「何か問題でも…あ、そうか…アルフのサポートと経理の両方をやらなきゃいけないから大変か…それなら」
アリア「いえそういうことでは…」
翠「?」
アリア「あまり…その…奴隷に経理をやらせる人はいないと思うのですが…」
翠「なんで?僕が良いって言ってるのに?君たちはもう仲間だからね。仲間を信用しなくてどうするの?」
アリア「か、かしこまりました!」
このお方は他の人とは全然違うわね。だけどこの信頼がアダとなって主様に誰かが牙を向くかもしれない。…そのためにも私やアルフがしっかりとサポートしないと
翠「良かった。それは良かったんだけど…その主様ってどうにかならないの?」
アリア「では、なんとお呼びすればよいでしょうか?」
翠「全員翠でいいよ」
アリア「畏まりました。これからは翠様と呼ばせて頂きます」
翠「なんか納得いかないけど…まぁいいか。じゃあ次、カレン、ロット、アリサは掃除や調理などの日常的な仕事をして貰いたい。役職的には使用人といった感じなんだけど出来そう?」
カレン・ロット、アリサ「はい!」
翠「次にミズキは薬の販売とか本を読んでたって言ってたと思うんだけど、今後図書館的なものを作ろうと考えてるから、そこの司書兼この屋敷の主治医的な感じの仕事を頼みたいんだけどできそう?」
ミズキ「そ、それなら大丈夫です!…出来ると思います」
ミズキはここでも本を読むことが出来、ましてや自分が司書になれるなんて夢のようだと内心とても喜んでいた。一般的に本は平民では価値が高いため手に入れることが難しい。そして司書も難しい試験を通らなければなることが出来ない職業であった。だが個人司書については試験など受けなくとも就くことができる。だが個人の雇われ司書は優秀な人が多く、ほとんどの人が国の試験を突破したものが、国営の機関で働き、個人からの推薦やヘッドハンティングなどでその役職に就く人が多いため、個人で雇われる司書は周りからの評価がとても高いものであった。ましてや奴隷の立場でそのような待遇を受けるなど前代未聞であった
翠「よろしく!次はイヴァン、イヴァンは僕の屋敷の警備に当たってくれるかい?」
イヴァン「畏まりました」
翠「ミーナはイヴァンのサポートをしてくれるか?」
ミーナ「畏まりました!」
翠「アレクサンダーとアルバートはイヴァンの下に入ってくれ。イヴァンが警備隊長、ミーナが副隊長という形で、その下にアレクサンダーとアルバートが兵士として入ってくれ」
翠「それでいいか?アルバート、アレクサンダー」
アレクサンダー「おう。わかったぜ!」
アルバート「すみませんこのバカが!!私はそれで構いません!」
アルバートがそう言うと思いきりアレクサンダーの頭を叩く
アレクサンダー「何すんだよ!?」
アルバート「お前が失礼な態度を取るからだろ!!」
アレクサンダー「翠様はそんなこと気にしねぇでけぇ器なんだよ!!」
アルバート「確かに器は大きいとは思いますが、それはときと場合を考えろと…」
翠「僕は気にしてないからいいよ」
アルバート「まったく甘やかしちゃ駄目ですよ翠様。こいつすぐ調子に乗りますから…」
アレクサンダー「いいだろ別に!!」
その後アルバートとアレクサンダーの睨み合いが始まったので翠はそれを無視し話を戻す
翠「次にカレナとカレアなんだけど…変則的に使用人をやって貰おうと思ってるんだけど、カレン、ロット、アリサをメインの使用人としたらサブの使用人って感じだね。通常時は使用人をして貰って、それぞれの役割があるときは別の仕事をして貰う感じかな」
カレナ「別の仕事ですか?」
翠「うん。その事なんだけど、まずはレイとカリンの話をしてからの方が早いかな。さてレイとカリンなんだけど、まだ子供なので勉強をして貰おうと思ってます」
レイ・カリン「…え?」
年齢が幼いときが学習能力のピークであり、自分が小学生や中学生のときにいじめられていたことや教科書を捨てられたりしたことで、まともに勉強が出来なかった過去から、この子達にはしっかり勉学を学んで貰って、良い人生を歩んで欲しいという翠からの望みであった
翠「カレナがレイ、カレアがカリンの面倒を見て上げて欲しい。勉強や使用人の作法など教えてあげて、それ以外の時や忙しいときは使用人の仕事を手伝って欲しいんだ」
翠「レイとカリンは2人に教えて貰いながら学ぶといいよ」
レイ・カリン「は、はい!!」
翠「カレア、カレナもそれで大丈夫?」
カレア、カレナ「もちろんです!」
翠「ごめんね。2人の面倒を頼んじゃって…」
カレア「とんでもないです。むしろ可愛い2人に教えられて良かったです!」
カレナ「私も同じです!」
翠「それは良かった!」
すんなりと役割決めが終わって一安心した翠だった
第12話終わり
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