第16話 エルフのアルレーネ
帝国が魔王に襲われて大変だという理由から帝国の王モガメットにより召喚された翠のクラスメイト達。責任感が強い最上を筆頭に帝国の王の協力要請を受けることになったクラスメイト達は、右も左もわからないこの世界で、魔王に挑むことになったのである。翠はそんなことは露知らず、ラミットの店舗でいくつか家具を購入し、次の場所へと向かっていた
カレナ「翠様、次はどこに向かっているのですか?」
翠「皆のベットを買いに行こうと思って」
カレア「翠様は大胆ですね。こんな昼間から///ふふ」
他の者同様奴隷として紹介されたときは怯えていたカレアだったが、他の奴隷達とは違うのか、元々こういう性格なのかはわからないが、翠があまり気にしないことに気付いたのか既に少し心を開き始めていた
翠「…はい?…カレナ、カレアさんは何を言っているの?」
カレナ「馬鹿は置いていきましょう」
カレア「誰が馬鹿よ!!」
カレナ「翠様今度は私が案内しますので‼︎」
翠「カレナもお店の場所知ってるの?」
カレナ「はい!昔色んな所に連れてって貰いましたので」
翠「そっか…いい両親だったんだね」
カレナ「…はい」
雰囲気の違いを感じ取った翠は、触れてはいけない過去なのかと考え、話を元に戻す
翠「その話はまた聞かせて貰うことにして。じゃあ案内して貰えるかな?」
カレナ「はい!!」
変なことを言い出し、自分の世界に入っているカレアを放置し、皆で先に置いていくことにした翠達
カレア「ま、待ってください…置いてかないでください!!!!!!」
カレアは置いてかれたことに焦りを覚え、走って翠達は追いかける。翠達はカレナの案内のもと寝具が販売されている店舗に到着する
翠「ここ?」
カレナ「…はい。一応」
なぜカレナが微妙な反応をしているのか、それは先程の店舗同様、案内した店の外見が明らかに高級そうな店だったからである
翠「じゃあ入ろうか」
カレナ「…よろしいのですか?」
翠「どうせならベットは良いもの使いたいしね」
外見から高そうな店であることは分かったが、ベットは良いものがいいという翠の意見から店に入る意思を示したのを感じ、カレナは他3名へ中に入ることを伝える
カレナ「レイ、カリン、カレアいきますよ!」
レイ、カリン「はい!」
カレア「わかった」
皆がカレナの声に返事をして店に入っていく
???「いらっしゃいませ〜」
店に入ると若い女の人の声が聞こえてきた。翠は声が聞こえる方へ目を向けると、そこには若い女性が立っており、翠はその女性を見て驚き立ち止ってしまう
翠「!?」
若い女の人「?」
若い女の人「あ、お客様もしかしてエルフを見たのは初めてですか?」
翠「あ、はい」
日本に住んでいた翠は、エルフという存在はラノベなどの小説でしか読んだことがなく、異世界に来て初めてエルフを見たことで、本当に耳が生えているんだなと驚いた感情を見せる
若い女の人「じゃあ自己紹介させて貰いますね!私はエルフのアルレーネといいます!!」
翠「僕は聖神翠といいます。先程はすみません…エルフという種族に会ったのが初めてだったの
で驚いてしまって…」
アルレーネ「大丈夫ですよ!でも珍しいですね。今までエルフを見たことが無いなんて」
異世界から来ましたとダイレクトに言えるわけもなく、この街に初めて来たと言う翠
翠「…えっと、初めてこの街に来たもので…」
アルレーネ「あぁなるほど!!それなら納得で
す!」
エルフは希少価値が高く、貴族が好んで手元に置くことが多い。そのため盗賊を雇って手に入れようとする輩が跡を絶たない。だがこの国ではエルフの国との平和条約を結んでいるため、エルフの売買は禁止されている。そのためエルフが安心して生活することができる。もちろん他国に連れ出して売ろうとする輩もいるが距離やリスクを考えると中々それをするのも難しいため、エルフが堂々と王都で暮らすことができている。アルレーネが初めて来た翠に納得したのは、他国がエルフ国との平和条約を結んでいないため、普段森に隠れているエルフに出会うことが少ないためである
アルレーネ「後ろの方々はお連れ様ですか?」
この世界では奴隷という言葉が浸透しているため奴隷を連れていても何の問題もない。だが元日本人である翠は、奴隷と答えるのに違和感を感じ、使用人と答えることにした
翠「彼女達は僕の元で働いてもらっている使用人
です」
カレナ「私はカレナといいます」
カレア「私はカレナの妹カレアといいます」
レイ「僕はレイといいます」
カリン「…レイお兄ちゃんの妹のカリンです」
翠「他にもたくさん人がいるんですけど、今日一緒に来てるのがこの4人って感じで…」
アルレーネ「なるほど!!凄い大所帯ですね。あ、それと私のことはアルと呼んで貰って大丈夫ですよ!敬語もいりません」
翠「わかった。アル」
アルレーネ「はい!ところで翠さん達は何を買いに来られたんですか?」
翠「えっと…ベットを買いに来たんだけど、あるかな?」
アルレーネ「ありますよ!うちの店は良い物が揃ってると自負しているので、きっと気に入るものがあると思います!!」
翠「それは期待してるよ!アル」
アルレーネ「はい!!」
アルレーネの自信のある言葉に期待を寄せる翠。アルレーネの案内のもとベットが置いてある場所へと向かった
アル「これはどうですか?」
翠「これは?」
アルレーネに言われた先にある寝具を見てみると、そこにはスライムのような見た目で、いかにもぷよぷよしそうなものが展示してあった
アル「これはウォーターベットといって水を入れてその上で寝ることができるベットのことです。普通のベットとは違った寝心地で、しかもひんやりしていて、とても気持ちがいいんですよ!」
実際このウォーターベットは青スライムの素材から作られている。青スライムの討伐難易度はFランクと低く、初心者冒険者が最初に討伐するレベルのモンスターであった。だが、このウォーターベットを作るにはスライム何千体の数が必要であり、作成にも技術や時間がかかるということで、あまり仕入れてる店舗が少ないというのが、商人達の共通概念であった
カレア「ホントだ!!凄い沈む」
カレナ「こら!!!はしたないでしょ。翠様の前で」
翠「まぁまぁ」
カレア「カレナもやってみなよ!!面白いよ!!」
カレナ「はぁ」
翠「ホントだ!感触が全然違う!カレナも試してみなよ?」
カレナ「翠様がそう言うなら」
翠「どう?カレナ」
カレナ「とてもいいですね!!」
翠「じゃあ僕これにしようかな」
アル「え?いいんですか?他にも気に入るものがあるかもしれませんよ?それにこのベットお値段が少し高いんですけれども…」
翠「値段は置いといたとしてと、確かに他に気に入るものはあるかもしれないね!じゃあ他の物も紹介してくれる?」
アル「はい!!これなんかどうですか?」
翠「これは?」
アル「これは羽毛ベットですね。羽毛ベッドはグレイドバードという魔獣の羽が使われているので、とても寝心地がいいんですよ!!」
グレイドバードは虎のような見た目に、大きな翼が生えており、Cランク適正の冒険者4人で退治する事ができるレベルのモンスターである。この世界ではなかなか手強いモンスターとして認識されている
翠「ホントだ…凄いふかふか!!カリンとレイも来なよ!」
レイ「はい!!」
カリン「…はい」
翠「どう?ふかふかじゃない?」
レイ「凄いふかふかです!!」
カリン「…うん…ふかふか」
翠「う〜ん…僕はこれにしようかな。なんか懐かしい感じがするしね!それにあんまり悩んでると日が暮れそうだし全部欲しくなっちゃうから、僕はこれにするよ」
アル「かしこまりました」
翠「みんなは?」
カレナ「え?」
カレア「これは翠様のベットを決めるためでは?」
翠「さっきも言ったけど皆の分も買わなくちゃ」
カレナ「こ、こんな高いの買ってもらえませんよ!!」
翠「いいよ。どうせすぐに稼げると思うから」
多分いけるよね?セバスさんに一応確認したけどこの世界にはなさそうだったし、行ける気がするんだけど
カレナ「で、でも…」
翠「いいからいいから!各自時間をあげるから好きなの選んできて。これは命令だからね!!」
カレナ「畏まりました」
不服そうなカレナを先頭に、カレア、レイ、カリンの順で自分に合う寝具を探しに行く
カレア「は〜い!!」
カレナやカレアは喜んでベットを探しに向かった
翠「レイ、カリンも選んできな!」
レイ「はい!」
カリン「…いいんですか?」
翠は「いいよ」と答え優しくカリンの頭を撫でる
翠「カリンも選んできな」
カリン「うん!!」
カリンは元気よく返事をするとベットを探しに向かい、アルレーネはその光景を微笑みながら見ていた。しばらく時間が経つと、それぞれどれにするか決めたようで翠のところへ戻ってきた
翠「決まった?」
カレナ「一応決まりましたけど…」
カレア「決まりました〜!!」
レイ「僕も決まった!!」
カリン「…私は2つで迷ってます」
翠「じゃあ今から皆が何を選んだか見て回るからそれまでにカリンは決めといてね」
カリン「…はい」
翠「じゃあカレアのから見ようかな!」
カレア「はい!こちらです!」
翠「さっきのウォーターベットだね!」
カレア「あの寝心地が忘れられなくて!!」
翠「じゃあカレアはこれに決定ね!次は…」
カレア「え?いいんですか!?結構高いんですけど」
翠「いいよ!」
まだ値段見てないけどカッコつけたい気分なんだ!!!
マスターはアホですね
う、うるさい良いでしょ別に‥
カレア「やった〜!!!!!!」
翠は笑いながら次の人を呼ぶ
翠「次カレナの選んだやつは?」
カレナ「え〜と私はこれがいいんですけど…」
翠「僕と同じ羽毛ベットでいいの?」
カレナ「はい。で、ですが翠様と同じ物を使うのは失礼ですよね…」
翠「君達は気にしすぎだから…選びたい物を選んでいいんだからね?」
カレナ「逆に翠様が気にしなさすぎというかなんというか」
翠「そんなことないよね?」
皆を見るが、誰一人頷いてはくれなかったことにショックを受ける翠だった
カレア「でも私達を買ってくれたのが翠様で本当に良かったと心から思います!」
レイ「僕も!」
カリン「…私もです」
カレナ「それは全員が思っていると思いますよ」
翠「…そっか」
翠は照れたのをごまかすために次の人のベットが、どこにあるのかと急いで尋ねた
翠「え〜と次はレイ」
レイ「はい!僕はこれです!」
そういって見せたのは布団であった。もちろん店の床に直でおいてあるわけではなく、カーペットの上に引いてはあるが、他のベットとは違いとても素朴というか地味に見える商品であった
翠「…これでいいの?」
レイ「はい!!これがいいです」
翠「レイがいいならそれでいいけど…」
なんで布団があるんだと疑問に思った翠だったが時間がないからと次へ行くことにした
翠「じゃあ残りカリンは?」
カリン「…わ、私も翠様と同じ物がいいです」
翠「わかった!じゃあ残りの皆のベットはどれにしようか?」
カレア「皆がどれがいいのかわかりませんからね」
翠「じゃあ皆が選んだものを複数個買っていてあとでじゃんけん大会でもしようか!」
カレナ「いいですね!」
カレア「そうしましょう!」
翠「あ、でも自分の好みのやつとか無かったら…」
カレナ「大丈夫ですよ。誰も翠様に文句言う人なんていませんから!!それにここの店のベッドは全て質が良いですから」
カレア「そうですよ!」
レイ「うん!」
カリン (コクッ)
翠「あとは来賓用に何個か買って言ったほうがい
いよね?」
カレナ「そうですね」
アル「お決まりになりましたか?」
アルがタイミングよく翠達に声をかけた
翠「はい。種類は決まったんだけどサイズとかは選べるの?」
アル「はい。サイズはキング、クイーン、ダブル、シングルの4つに分かれていますが、いかがなさいますか?」
なんか所々日本みたいだなと感じる翠
翠「僕は大きい方がいいかな。皆はどうする?」
カレナ「翠様以外はシングルで十分だと思いますよ」
翠「え、でもそれだと狭くない?」
カレナ「いえ、それぐらいの差はつけて頂かないと!!」
カレア「そうですよ!!」
翠「そういうものかな?」
カレナ「はい」
翠「じゃあ来賓用は?」
カレナ「そうですね」
カレナ「来賓用はクイーンサイズでよろしいかと」
翠「いいの?クイーンで?」
カレナ「問題ないと思います」
翠「わかった。種類は無難に羽毛でいいかな?」
カレナ「それで十分だと思います」
翠「オッケー」
カレナと相談しながら来賓用のベットを何にするか決めた翠は気を使ってその場を離れたアルレーネを呼ぶ
翠「アル!決まったんだけどいい?」
アル「はい!!どれになさいますか?」
翠「えっと…羽毛ベットのキングサイズが1つ、羽毛ベットのシングルサイズが5つ、羽毛ベットのクイーンサイズが5つ、ウォーターベットのシングルサイズが5つ、布団のシングルサイズが5つでいくらになる?」
アル「はい。え〜と羽毛ベットのキングサイズがお1つで白金貨2枚、羽毛ベットのシングルサイズが5つで白金貨5枚、羽毛ベットのクイーンサイズが5つで白金貨7枚と金貨5枚、ウォーターベットのシングルサイズが5つで白金貨5枚、布団のシングルサイズが5つで金貨5枚で合計白金貨20枚になります」
翠「…意外と高いな」
た、高くね?
カレナ「…どうしますか?(さすがにこの値段は…)
」
翠「買います(まぁ…いいか)」
カレナ「ハァ…まぁそうですよね」
アル「ありがとうございます!!」
従者の気持ちなどの全くといっていいほど考えていない翠だった
第16話終わり
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます