第21話 鍵とダンジョンの歴史
翠「ダンジョンをクリアすると精霊と契約出来るの?」
ピー「はい。精霊と契約することによって、自身を強化出来るようになるからだそうです。簡単に言えば攻撃力の増加や魔法力の増加、他にも単純な戦力として、精霊が一体いるだけでも何倍にも膨れ上がるそうです」
精霊とはハイエルフが昇華した姿であり、エルフ、ハイエルフ、そして精霊と段々に進化を遂げていく。ハイエルフに成れる者も少なく、その先の精霊となれば、さらにごく一部の存在しかなることが出来ない。そのため精霊は何百、何千年の歴史と力が蓄えられているのである
翠「じゃあその精霊と契約したくてダンジョンに挑んでる人もいるってこと?」
ピー「はい」
現在この世界の強さの基準は、魔法やスキルの技能、ランク、レベルによって判断されることが多く、精霊と契約しているものは、魔法やスキルの威力が全て上昇されているため、契約しているものは、世界の中でも上位に位置することがほとんどである。もちろん精霊の有無が全てではなく、エルフなどの人間以外の種族の中には生れながらにして強力な魔法を使えるものがいる
翠「なるほどね。ピーの話を聞いてて思ったんだけど、何で鍵が売られてるんだろうね。確かに売ればお金はたくさん貰えるのかもしれないけど、そんなに強いなら自分で契約しちゃえばいいんじゃないの?」
ピー「はい。基本的には自分で契約をしようと試みますが、契約にはダンジョンのクリアが求められます。ダンジョンに挑戦すること自体はさほど難しい事ではないですが、クリアとなると出来る者は限られています」
翠「じゃあそんなにダンジョンをクリアするのが難しいんだったら精霊と契約できてる人って少ないんじゃないの?」
ピー「はい。なので、精霊契約者は全体の1%程度しかいないと言われているそうです」
過去に、精霊と契約が出来るという情報が広まったことで、国が総力を上げて鍵の獲得に奔走したが、そもそも鍵は何故あるのか、どこにあるのかなど発生条件が一切わかっていない。それほど希少なもので、鍵を獲得するために人間は色々なことを模索した。だが、なかなか鍵を見つけることは出来ずにいた
しかし、しばらくたったある日突如ダンジョンというものが6つ現れた。そのダンジョンは複数の階層から成り、ダンジョンによって生成される階層が異なった。ダンジョン毎に難易度は異なり、下からF、E、D、C、B、Aと難易度が分かれていた。最初は鍵が広まっておらず、入場自体できるものは少なかった。最初は互いに牽制しあっていたが、ダンジョンを放置していると中からモンスターが溢れだすスタンピードが発生した。そのスタンピードで現れたモンスターを冒険者や国の騎士団によって討伐されたことで、FランクやDランクの鍵がドロップし始め、ダンジョン内のモンスターを倒したり、ダンジョン内の宝箱から鍵を入手出来るということが判明したのである
そのため現在では、Fランク、Eランクの鍵は大量に獲得できるため、手頃な価格で販売されている
翠「でも、そしたら精霊との契約者は増えるんじゃないの?」
ピー「はい。ダンジョンが現れて、鍵が入手しやすくなったことで、多少ではありますが、精霊の契約者は増加していきました。それと同時に鍵を手放す者も増加しました。それは鍵のランクによってダンジョンをクリアしても精霊と契約出来ないことがわかったからです」
Fランク、Eランク、Dランクの鍵を使用して入場するダンジョンでは何故か塔をクリアしても精霊と契約できないとわかっており、F、E、Dランクのダンジョンはダンジョン初心者やパーティー結成時に腕試しとして使用することが多くなった。他にも用途としては、魔法技能を強化するために、低レベルの鍵を国営の教育機関が購入し、生徒のダンジョン経験をさせたり、レベルアップに用いられている
翠「そうなんだ。そう言えば鍵っていくらぐらいするの?」
ピー「Fランクの鍵だと銅貨1枚、Eランクだと銀貨1枚、Dランクだと金貨1枚が平均値のようです。Cランク以上はその年の出回っている数によっては価値が上下するようで、Cランクの鍵は最低でも金貨10枚〜30枚、Bランクの鍵は白金貨10枚から50枚、Aランクの鍵ともなれば最低でも黒金貨5枚はかかると言われています」
翠「えっと…日本円だとCランクで、100万円から300万円!?」
ピー「この世界では、それ程までに鍵の重要度、つまり精霊の重要度が高いということですね」
じゃあこの鍵を売ったらいったいいくらに…ゴクッ……
………………………………………………
翠「…冗談だって…アハハ…まぁどちらにせよ当面の目標としてはダンジョンに行くことになるのかな」
ピー「そうですね。異世界伝記にもダンジョンのことが記載されていたので、ダンジョンには何か秘密があるのかもしれないですね」
コンコンと部屋の扉の方から音がなる
翠「はい」
カレア「翠様。お食事の準備ができました」
翠は今行くといいすぐに扉を開け、食堂に向かおうとすると、そこにいたのは頭にたん瘤ができているカレアが立っていた
翠「頭どうしたの!?」
カレア「カレナに殴られました…」
翠「‥あぁ…なるほど」
カレア「…」
翠「カレアも大変だね…」
カレア「いえ。今回は私が悪いので…改めて翠様申し訳ございませんでした」
翠「いいよ謝んなくて。次からは宜しくね!」
カレア「はい!」
翠「じゃあ食堂行こうか」
カレア「はい!」
食堂で使用人達と食事を食べ始める翠だった
第21話終わり
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
面白いと思ったり、続きが見たいと言う方は、フォローや星、コメントをつけてくれると有り難いです。とてもやる気が出ます!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます