第10話 天賦の才を持った奴隷

屋敷のセキュリティーのために、ピーの案内のもと奴隷商へと向かっていると、トレードという名の看板が付けられた華やかな装飾が施されている建物が見えた。そこは他とは一線を画した建物が立っていた


…ピーここであってる?


はい


派手だな…まぁいいや入ろう


翠はピーに目の前に建っている華やかな建物が、本当に奴隷商であっているか確認を取り、この場所で合っているとわかると奴隷商の中へ入っていく。すると中から男の人が出迎えに来た


奴隷商人「いらっしゃいませ!!私この奴隷商店トレードの店長クリケットと申します。今回はどのようなご利用で?」


翠「奴隷を何人か購入したいと考えてるんですけど」


クリケット「どのような奴隷でしょうか?」


クリケットは会話をしながらも翠の全身をくまなく観察していた。それは商人特有で、顧客が資金を持っているかどうか見極めるための行動であった


翠「借金奴隷を数人欲しいです」


クリケット「かしこまりました。借金奴隷を数人となるとお値段が上がってしまうのですが…」


翠「1人当たり大体いくらぐらいですかね?」


クリケット「借金奴隷は1人あたり平均金貨2枚〜3枚、高くて5枚程度です」


翠「じゃあ問題なさそうなので大丈夫です」


と翠は即答した。クリケットはその様子を見て目の色を変える。それはこのお客がしっかりとお金を持っていることがわかったからである。何故分かったのかは商人の感であり、クリケットは自分の感を信じていた。でないと、この業界は生き残れないと考えているからである


クリケット「ではこちらへどうぞ!」


クリケットは翠を借金奴隷がいる場所へと案内する。翠は案内された先にいた奴隷たちの生活環境や健康面に驚いていた。奴隷商は、国の厳しい条件のもと運営されているため、流石と言えるほどしっかりとした環境が揃えられていた


クリケット「この場所にいる奴隷はすべて借金奴隷でございます」


翠「どの人にしよう…家事ができる者は何人いますか?」


クリケット「女男含めて10人です」


翠「じゃあ全員ください」


クリケット「え?さっき数人と…いえ畏まりました」


翠は驚くクリケットを気にすることなく、次に欲しい人材のことを考えていた


あと警備をしてくれる人が欲しいな…誰がいい人材かわからないな


王国騎士団長にも使用した超鑑定を使用してみてはどうでしょうか?


あぁそうだ!!あのとき教えてくれたスキルか…忘れてた。つい自分の目だけで確認しちゃうんだよね


この世界にはマスターの鑑定を防げる者はいないので、誰にでも使用できると思いますよ


スキルレベルとランクの種類によって変わるんだよね。ちなみに僕のレベルは?


スキルレベル10のMAXです


スキルレベル10ってどのくらいなの?


この世界の住人のスキルレベルの平均レベルは2です


…え?


3になると熟練者、4になると達人、5になると人外と言われているそうです


え!?低くない?


この世界の魔法やスキルの技術は時代が立つにつれ衰退化していった様です。現在ではスキルレベルが6以上の存在は把握されていないそうです


な、なんで存在が把握されてないの?


そもそもスキルレベルが5になった人が今までに少ないからであると考えます


…なるほどね。僕も家に帰ったらちゃんとステータス確認しなきゃ…


その方が宜しいかと


じゃあ早速…超鑑定


超鑑定と頭の中で唱えると、翠の目の前には以前にも出てきたウィンドウのようなものが出る。見る対象を変えるとステータスもすぐに表示が変わる。そこで目についたのが、男の獣人と女の獣人、そして双子の兄妹だった。翠が男の獣人を見ると目を鋭くして翠を威嚇し始めた。翠はそれを気にすることなく、その男をじっと見てステータスを確認した


ーーーーーーーーーーーーーーーー

男の獣人


ステータス イヴァン レベル20


攻撃力 250


防御力 250


俊敏  100


魔力 0


運 15


知力 50


スキル


絶対防御 (A) レベル1(最大)

…5秒間だけどんな攻撃でも無効化することができる。ただし使えるのは1日に1度だけ


斬撃(C)レベル2

…斬撃を飛ばすことができる


ーーーーーーーーーーーーーーーー


次は女の獣人のステータスを見る


女の獣人


ステータス ミーナ レベル15


攻撃力 100


防御力 15


俊敏 50


魔力 300


運 15


知力  100


スキル


魔力制御(C) レベル3

…魔力制御ができるようになる


鑑定(D) レベル2

…相手の性別・身分・年齢を知ることができる(ただし同レベルの隠蔽もしくはそれ以上のランク・レベルの隠蔽により防がれる可能性がある)


ーーーーーーーーーーーーーーーー


次に双子の兄弟のステータスを見る


双子の兄妹


ステータス 兄 レイ レベル5


攻撃力 30(250)


防御力 25 (250)


俊敏 20(250)


魔力  0(1250)


運 0(50)


知力  30(30)



スキル


幻狐化(A)レベル1

…狐の姿に変身することができる。その間全ての能力が格段に跳ね上がる


狐火 (C) レベル2

…火を扱うことが可能となりレベルによって使える火力が異なる


ーーーーーーーーーーーーーーーー


双子の兄妹


ステータス 妹 カリン レベル3


攻撃力 20(200)


防御力 15(200)


俊敏   15(200)


魔力   50(1000)


運 0(50)


知力  100(100)


スキル 


幻狐化(A)レベル1

…狐の姿に変身することができる。その間全ての能力が格段に跳ね上がる


狐火 (C) レベル1

…火を扱うことが可能となりレベルによって使える火力が異なる


ーーーーーーーーーーーーーーーー


…ピーさん


はい


…確かAランクスキルって勇者とか魔王が持てるスキルみたいな話してませんでしたっけ?


はい。その通りですね


………………


翠「クリケットさん」


クリケット「はい?」


翠「ここにいる男の獣人と女の獣人、双子の兄妹もください」


クリケット「!」


クリケット「かしこまりました」


翠「全部でいくらぐらいですかね?」


クリケット「家事ができるもの男女10人が金貨2枚ずつ、男獣人が金貨3枚、女の獣人が金貨3枚、双子の兄妹が金貨2枚ずつ、合計金貨30枚でございますが…お支払い方法はどうなさいますか?一括と分割が御座いま…」


翠「はい」


クリケットが支払い方法について述べていると翠はその場で代金を一括で支払った


クリケット「ま、毎度ありがとうございます。では契約に移りますのでこちらへどうぞ」


クリケットに着いていくと奴隷がいた場所とは違う応接間のような場所に案内された


クリケット「では奴隷の説明をさせていただきます。お客様は奴隷を買うのは初めてでしょうか?」


翠「はい」


クリケット「わかりました。では説明させて頂きます。まず奴隷を購入する際に契約というものをする必要があります。契約方法は2つあり、奴隷が言うことを聞かない場合は首輪を嵌めて強制的に従わせる方法、もう1つが互いに納得の上で合意し、紋章を刻印して契約をする方法の2つがあります。そして奴隷と契約するに当たり守らなければいけないルールがあります。ルールを守らなければ王家の法により罰せられる可能性があるのでご注意ください。ルールは3つ程あり、1つ目は奴隷に対し、しっかりと食事を与えること、2つ目は奴隷が住める住居を用意すること、3つ目は奴隷に対し、暴力を振るわないこと。これらを守れる方のみ契約することができます」


これらのルールが決められたのは、以前に違法奴隷が王国中に充満していたためである。違法奴隷とは奴隷禁止地区や許可などがない場所で人を無理やり攫ったり、悪徳な方法で借金を背負わせ無理やり奴隷にするなどの強行が裏で行われており、それを見かねた王家が決めた政策の内の1つであった


翠「問題ないです」


クリケット「では契約の方法はどちらにしますか?」


翠「紋章の方でお願いします」


いくら奴隷とはいえ、明らかに目に見えた首輪は世間体的にも悪いと考えた翠は紋章にすることに決めた


クリケット「畏まりました」


翠「あ、ちなみに紋章はどこに現れますか?」


クリケット「左手の甲に現れます」


翠「分かりました」


クリケット「では奴隷たちをお連れします」


翠「お願いします」


そう言うとクリケットは奴隷達を向かいに行った


         第10話終わり

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