第4話 王都への移動
盗賊に襲われていた者達を助けた翠は、その場にいたシルフィードと兵士隊長と共に、倒した盗賊達をボックスというスキルで収納し、馬車で街まで向かっていた。その際に恩人だからという理由でシルフィードと同じ馬車に乗せられた翠はシルフィードに熱い眼差しで見られ、質問攻めを受けていた
シルフィード「翠様はこの国の出身ですか?」
翠「す、翠様!?」
シルフィード「お、お嫌でしたか?」
そういうと泣きそうな目で翠を見るシルフィードの表情を見て焦った翠は
翠「い、いや全然。むしろ嬉しいというか何というか、女性からあまり名前で呼ばれたことがなかったので…あはは…」
男性からもあまりないんですけどね…はぁ…
と翠は心の中で自虐していた
シルフィード「そうですか!それは良かったです!!」
翠「…良かった?」
名前で呼んでくれる友達がいなかったのによかったってお姫様酷くないですか…
シルフィード「いえ…なんでもないです!」
これなら私にもチャンスがありそうですね…ふふ
翠とシルフィードの頭の中でお互い違う事を考えていたが互いにその事に気づくことはなかった
シルフィード「なら私はシルとお呼びください!」
翠「え…そんな第二王女様相手に恐れ多いですよ!」
翠が恐れ多いとシルフィードに辞退の意を伝えるとムッとした表情でシルフィードは答える
シルフィード「いいから呼んでください!」
翠「シ、シルフィード王女様」
シルフィード「シル!それに私は第二王女です」
翠「シ、シルフィード第二王女様」
シルフィード「王女はいりません。あと敬語もいりません」
翠「…シル様」
シルフィード「ムッ…」
翠「………シル」
往生際が悪くなんとか呼ばないようにしていた翠だったが、シルフィードの押しが強く最終的にはシルと呼ばされることになってしまう。翠は恥ずかしくて顔が赤くなってしまっていた
シルフィード「はい!!」
シルフィードも「はい」と返事をするも、こちらもいきなり名前で呼ばれたため恥ずかしくなって顔が赤くなってしまっていた
ムゥ…
ん?どうしたピー
別になんでもないですよ。マスター
え、あ、そう…
などとシルフィードと他愛もない話をしているうちに街へと辿り着く。衛兵に事情を説明し、盗賊たちを引き渡した翠達一行。翠達が訪れた街はただの街ではなく王城がある街であり、王都と呼ばれる場所であった。立地としては城下街、城中街、城上街と呼ばれ、大きく分けて3つに分けられる。城下街は一般市民や冒険者が住む街、城中街は商人などが住む街、そして城上街は貴族や王族が住む街となっている。現在翠たちはその城下街にたどり着いていた
行きますよマスター
その場から急かすように離れると提案(指示)をするピー
あ、はい…なんか怒ってません?
怒ってません
え〜…絶対怒ってるでしょ。何かしました俺…?
機械的であったピクシーは翠が盗賊を倒したことによって得られた経験値からレベルアップしたことで喋りが流暢になっていた。そしてそれだけではなく感情という概念も備え付けるという出来事が起きていた。それがいい事なのか悪いことなのかはまだ分からない。だが通常ではありえない事象が起きていることは確かであった
翠「ではこれで…」
翠がシルフィードと兵士隊長へ告げ何事もなかったように消えようするが…
シルフィード「ど、どこへ行かれるんですか?」
シルフィードは翠がどこかへ行こうとしていたため焦ってその場に留まるよう告げた
翠「え?え〜と、まだ決めてないですけど…どこかぶらぶらしようかなと…」
シルフィード「今から翠様にはお城に来てもらいます」
翠「…はい?な、何故?」
シルフィード「私を助けてくれた翠様にお礼をしたいのです‼︎それにお礼の品も渡す必要があります!ですので…」
翠「い、いやそんなのいらないって…」
…正直面倒くさい
シル「…私達からの物は受け取れないってことですか?」
また泣きそうな目で訴えかけてくるが、その手には乗るものかと翠も必死に耐える
翠「い、いや、そうじゃなくて…」
シル「他に予定でもあるんですか?」
翠「…いやないけ、、ん…いやある、そう予定があるんだ!!」
翠「だ、だからごめんね…」
シル「そうですか…」
翠「うん…」
心が痛いな。でもそんな場所行ったら僕が王様に会わなきゃいけなくなるしね。そんなの緊張してやだよ
翠「じ、じゃあそういうことで…」
誤魔化せたと考えた翠はその場をあとにしようとしたがシルフィードが何かを言い始めた
シル「嘘ですね」
翠「ギクッ…」
…なぜだ…
シル「ほらやっぱり!」
やっぱりこの人は…ムッ
翠「な、なぜバレた?…」
シル「私に嘘は通じないと言うことです。ふふ…それよりなんで嘘ついたんですか?」
嘘をついた翠は申し訳なさそうに理由を述べる
翠「お、王様に会うのとか緊張するからさ…」
シル「そんなことですか。じゃあ行きましょう!」
シルフィードは翠から王城に行きたくない理由を聞き、自分と一緒にいたくはないという理由ではないことにホッとし、笑顔を浮かべ強制的に翠を連れて王城へ向かう
翠「…えぇ…ハァ」
最近ため息しかついてない気がする…
シル「ちゃんとサポートしますから!」
翠「…ほんとに?」
シル「はい!」
翠「…わかった…ハァ…」
やったー!!!!!
翠に見えないところでガッツポーズをしていたシルフィードであった
その後お城に向かっていった翠達
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現在のスキルとステータスの確認
スキル ランク別表記
SSS 存在があるかどうかすら怪しいと
されている
SS 未知の領域とされているランク
S 人外とされているスキルランク
A 勇者や魔王と呼ばれる者たちが獲得す
ることができるスキルランク
B とても優秀なスキルランクであり国家の
軍隊の騎士団長レベルが所持している
スキルランク
C 優秀なスキルランクであり、軍隊の隊長
クラスが保有しているスキルランク
である
D 一般的には多くの兵や冒険者はこの
レベル帯のスキルがほとんどである
E 多少練習が必要になるが一般市民でも
習得可能なスキルランク
F 一般市民でも習得可能なスキルランク
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鍵 ランク(後に出ます)
精霊 悪魔 天使 ランク(後に出ます)
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異世界に飛ばされる前のステータス
聖神翠 ステータス レベル1
攻撃力 1
防御力 3
俊敏 1
魔力 0
運 -5
知力 5
スキル
不運な者・母親思い
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異世界に飛ばされた後のステータス
聖神翠 ステータス
レベル1
攻撃力 1000
防御力 1000
俊敏 1000
魔力 10000
運 5000
知力 1000
スキル
●ハイボックス(A)
…このスキルは食料やアイテム、武器、生物などの有機物、無機物関係なく、異空間上に仕舞うことが出来、いつでも取り出すことが可能である。容量はレベル・魔力量によって異なる。そして仕舞われたものには保存機能が付与され、しまったときと変わらない鮮度で維持される。ただし、生物などが生きたままハイボックス内で動き回ると、他のものに影響が出てしまう (通常のボックスはC)
●ナビゲーションピクシー(SS)
…ナビゲーションピクシーが自分にだけ見えるようになり、いろいろな情報を教えてくれる。創造神ゼロによって創られた
所有権: 聖神翠
●身体能力向上(C)
…身体能力が大幅に増加する
●魔力増加(C)
…魔力量が大幅に増加する
●経験値超倍増(A)
…獲得することができる経験値が10倍に増加する
●必要消費魔力10分の1(A)
…魔法発動に必要な魔力消費量が10分の1になる
●必要経験値10分の1(A)
…レベルアップに必要な経験値が10分の1になる
●母親思い (A)
…母親を心から思うことで得られるレアスキル 30秒で1割のHPを常に自動回復する
●家事スキル (F)
…家事全般を扱うことができる
●不運な者 (E)
…少しだけ運が補正される
●送還 (S)
異世界へとお金を転送することができる
…ただし相手は特定の人に限る。その際にあちらへの通貨へと自動で両替される
●精神耐性(D)
…精神に対する耐性が強化される
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貴族 爵位
上から順にランクが高い
王族 (おうぞく)
公爵 (こうしゃく)
侯爵 (こうしゃく)
≒
辺境伯(へんきょうはく)
伯爵(はくしゃく)
子爵(ししゃく)
男爵(だんしゃく)
准男爵(じゅんだんしゃく)
騎士爵(きししゃく)
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兵士隊長「王城に到着致しました。シルフィード第二王女様、翠殿」
シルフィード「わかったわ!城に到着したそうなので行きましょう翠様」
翠「…はい」
翠は王様に会う、そう考えるとあまり乗り気ではないが、仕方なく相槌を打つ。翠が馬車から出ると、そこにはとてつもなく大きくそびえ立つ真っ白な城が存在していた
翠「でか!!!」
シルフィード「一応この国の王城なので威厳を見せるためにも、このくらいのサイズが必要なのです。他の国の王城もこのぐらいの大きさだと思いますよ?」
翠「…ハハハ…そうなんだ…」
現代の価値観で判断してしまう翠にとっては驚くことだらけであった
シルフィード「はい!では、行きましょう!」
シルフィードに腕を引っ張られながら王城の中へ連れて行かれ、城の中に入るシルと翠
シル「またあとでお会いしましょう!」
待機していた侍女と共にどこかへ行ってしまったシルフィード
翠「え?…サ、サポートは?」
いきなり置いていかれたと思っていた翠は、他の侍女と思われる人達、複数人に案内され《拉致され》無理やり正装に着替えさせられていた
侍女「出来ました翠様」
翠「あ、ありがとうございます」
侍女「正式な場所で、陛下に正装以外で会わせるわけには行かないですからね。それとこの度はシルフィード様をお助けいただきありがとうございました!!」
兵士隊長が城下街に到着した際に兵士たちに事のあらましを伝えており、兵士は急いでその情報を王城へと伝えていた。その話を聞いていた侍女が深々と頭を下げた
翠「そ、そんな頭を上げてください。僕はたまたま通りかかったところを助けただけですよ…」
侍女「それでもです!!もしあなたが助けてくださらなかったら、今頃シルフィード様は盗賊に捕らえられていたでしょう…私はシルフィード様が生まれた頃から15年間常にそばに付きそってきました。こんなことを言うと陛下、王妃様に怒られるかもしれないのですが、私はシルフィード様を娘のように感じていました。盗賊に襲われたと聞いたときは心臓が止まるかと思った程です。ですが、とある方に助けられたと聞いてとても安堵しました。ですので、心から感謝しております。本当にありがとうございました!!」
侍女は涙を浮かべながら再び深々と頭を下げた。シルフィードは回りから本当に慕われているんだなと感じさせられ、自分には慕っている人も慕ってくれる人も1人しかいなかったな…と考える翠
翠「…はい。助けられて良かったです」
話をしていると思ったより時間が立っていたことに気づいた侍女
侍女「あ、いけない!もう式が始まってしまいます!急いで支度をして向かいましょう」
翠「え?…」
侍女「早く行きましょう。翠様」
翠「え、はい。え、え〜と?…」
侍女「申し遅れましたメイド長のセリナと申します」
着替えをしていた部屋から謁見の間の扉の前まで歩きながら向かっている間にセリナに質問をする翠
翠「え〜とセリナさん。式はあとどのくらいで始まるんですか?あとシルはどこに?…」
セリナ「式はもうすぐ始まります。ですので、急ぎましょう!シルフィード様はもう式場に行かれて準備をなされていると思います」
翠「え?俺はどうすれば?…」
セリナ「扉が開いたら、そのまま真っ直ぐ進んでください。真っ直ぐ進むと金色で引かれた線の目印があります。そこで片膝をついて右手を胸に置き頭を下げてください」
翠「え、えっと、扉が開いたら、まっすぐ行って、下の線を、、、」
セリナ「その後は陛下が何かを言ってくださると思いますのでそれに従ってください」
翠「…わ、わかりました。」
ハァ……何言われるのかな…
セリナ「では行ってらっしゃいませ!」
翠「…はい」
セリナがそう言うと扉が少しづつ開きだし、最後までぐちぐち考えていた翠だったが、最後には覚悟を決めて謁見の間に入っていくのだった
第4話終わり
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