違う! 僕はエッチな男じゃないんだよ
僕が通学に使っている地下鉄駅の近くに、
ゲームショップがあって、大学の帰りによく立ち寄るんだ。
ゲームショップ『スカーフェイス』
そこは他では見ないゲームが色々と置いてあったり、品揃えも豊富で気に入ってるお店で新品
中古どちらも扱ってるし、レトロゲームや海外版なんてのも置いてあったりする。
その他にも古本やCDにDVDとブルーレイもあるけど、どれもマニアックな物が多く特に目を引くのが、日本アニメの海外版で値段も安く嬉しいよね。
あと、僕は入らないけどエッチなコーナーも
あるんだよ。
なんてね、本当は他のお客さんがいない時に
1回だけ入ったことあるんだ。
そう言うことで今日も、ゲームショップ
『スカーフェイス』に向かうよ。
店内に入ると「いらっしゃい」
と、ぶっきらぼうなだけの挨拶
カウンターに座ってるサングラスの頬に傷のある人が店長なんだ。
見た目が恐くて最初は長居できなかったけど、彼は無愛想なだけで客を気にしないので、
じっくりと掘り出し物を探せるのもいいんだよね。
まずは新作のゲームを一通り確認してと、次に中古のゲームも忘れずにチェック。
ディスプレイモニターに映ってるゲーム動画を見て映画、アニメのDVDや壁一面に貼ってあるポスターを見てから、ショーケースに飾ってある、アーケードカードゲームのカードを眺め
「遊んでみたいけど敷居が高いしなぁ。」
なんて独り言を呟く
他のお客さんが入店したので、チラッと目を向けてみると天狗のお面が見えた。
「ゲッ、天狗さんだ。」
隠れないと!彼の方からはショーケースが
死角になっていて、どうやら気付いてないようだ。
人見知りの習性でとっさに隠れてしまったけど、後で思い出してみると何もやましい事してないんだから堂々としてればよかったんだ。
よりによってエッチなコーナーに入ってしまうなんて…出るに出られない。
18禁の暖簾(のれん)の隙間から覗いて様子を
伺うと店長と天狗さんが話をしている。
どうやら知り合いのようだ。
しかし…あの人って、どこ行くにしても
天狗の面着けてんの?
「立ち話もなんだし、どうだい天狗さん。」
店長が挨拶をすると、昔のゲーム機のコントローラーを差し出す。
「ほう、では遠慮なく遊ばせてもらおう」
と店長の隣に座ってゲームを始めた。
遊んでるのはレトロゲームのようで、
昔のゲーム独特のピコピコ音が不思議と斬新に聞こえる。
「店長殿、よく手に入れたな」
「苦労したさ、天狗さんに自慢したくてね」
「うむ、これを遊べるとは思わなかった」
「特に音源がスペックを越えた出来でね。
素晴らしいと思わないかい?」
「2重スクロールの動きもいいな」
「そうだろ」
なかなかマニアックな話をしているようで、
興味深く聞き耳を立ててみるが、残念ながら
何が何だか分からない。
あの店長って以外と喋るんだな。
いらっしゃいと会計の時しか声を聞いたことがないから、てっきり無口な人だと思ったよ。
「まだ帰らないのかな。」
天狗さんは帰る様子も無いので、仕方なしに
エッチなDVDを手に取って見たりしながら時間を潰している内に、長時間エロに囲まれていたので、女性の裸が何とも思わなくなってきた。
「店長殿、そろそろ帰らせてもらう。」
「天狗さん、また来てや」
ふう、やっと帰ったよ。
結局天狗さんが帰るまでの2時間は、アダルトコーナーに閉じ籠っていたよ。
安心して直ぐに出たところ、なんかの間違いで戻ってきて鉢合わせになっても嫌なので、少し待ってから出よう。
そして10分程経ってから
「あー、長かったなぁ。」
ホッとしてアダルトコーナーを出ると、紅美ちゃんにバッタリ出会ってしまった。
あ、あれ何で!?
何でいるの?
#¥$×♪!?
いつの間に
もう、最悪だ。
よりによって紅美ちゃんに診られるなんて
で、でも違うんだよ!
僕はエッチなコーナーに用があった訳じゃなくて……。
あーもう!これなら天狗さんに見られた方が良かったよ。
色々思考が巡るけど、頭の中で整理がつかず
明らかに固まって何も言えずにいる僕。
……そして少しの沈黙
軽蔑の言葉を浴びせられると思っていたら
紅美ちゃんは笑顔で
「間宮くんも男の子なんだね。」
「違うんだよ。」
必死に否定してみるけど
「いいからいいから」
なんて言って聞いてくれない、いたずらぽっく笑って「エッチだねぇ」って、からかうもんだから、僕の名誉の為に言い訳しようと思ったけど…。
考えてみれば、僕が勝手に天狗さんを避けただけなので言い訳にすらならない。
エッチなだけじゃなく、感じの悪い奴だと思われたら身も蓋もない。
下手したらエッチな上に感じの悪い奴になって、これ以上嫌われる可能性まであるので、
言い訳するのを諦めた。
紅美ちゃんに「エッチエッチ」とからかわれていると
「紅美ちゃんと知り合いだったのか坊主」
横で聞いて店長も話に加わってきた。
「それにしても随分長くいたな。
色々吟味してたのか?」
「ガハハ!」と豪快に笑って僕の肩を叩く。
い、痛いよ。
恥ずかしくて、早くここから立ち去りたいので、適当な本を選び
「これ下さい。」とレジで会計を済ませる。
「坊主、これ入れといてやるよ」
店長も僕がエッチな男だと思ったようで、
好意なのかレジ前に置いてあるセクシー女優の
カードパックを一つ買い物袋に入れてオマケしてくれた。
「今度、何か凄いのがあったら取っといて置くからな」
とか言うし
紅美ちゃんも紅美ちゃんで
「良かったね。間宮くん」
なんて笑顔で言うけど全然良くないし
好きな人にこんな姿まで見られてさ
あー!もう恥ずかしいよ。
「毎度あり」を背中で聞きながら
エッチな男という不名誉な烙印を押された僕は、逃げるように店を後にした。
数日経って、セクシー女優のカードパックを
開封したら、金髪の外国人女優のカードが3枚入っていて、その中の1枚はホログラムで絶叫のような凄い顔をしている。
どうやらレアカードのようだけど……
誰これ?
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