緊急事態! 僕の紅美ちゃんがデートに誘われた。 その4
僕は紅美ちゃんと一緒にハイツホンマに戻ってきた。
道の向こう側から置いてきた雪乃さんも戻ってきたけど……天狗さんと一緒にいる。
その辺で一緒にでもなったのかな?
「あー! 雪乃ちゃん、なんで天狗ちゃんと
一緒にいるの?」
「ふふふ、ちょっとね」
雪乃さんが不敵に笑うと、紅美ちゃんは2人を引き離すように強引に割って入り、天狗さんの腕にしがみつく。
「お店の様子を見てくるわ」 と涼しい顔で
雪乃さんはお店に向かう。
天狗さんと紅美ちゃんはハイツホンマに帰ったので、僕は助っ人が誰なのか気になっていたから雪乃さんに付いてくことにした。
「雪乃さん、助っ人って誰なんですか?」
「ふふふ、見てのお楽しみよ。
あの娘には、前からうちの制服を着てもらいたかったのよね」
そんな会話をしながら歩いていると
『ルー デ フォルテューヌ』 の前に隣の店のおじさんがいて、雪乃さんの方に駆けつけて来た。
なんだろう? 表情が怒っているようにも見えるな。
「青塚さん! あんたの店どうなってんだい?うるさくてかなわないよ」 とクレームをつけてくる。
確かに騒がしいな。
それにお客さんらしい人が、店の外でウロウロしている。
それを見て、雪乃さんは駆け足で店内に入って行ったので僕も続く。
すると店の中はいつもより暗く、ぎっしりと人で埋め尽くされている。
「エリザベート! これはどういう事?」
「あら、メイド帰ったのね」
助っ人って絵里だったのかって……なんだなんだ?! なんかライブ開催してるぞ!
どうなってんだ?
「エリザベート、アンタうるさすぎよ!
それになんでうちの制服着てないのよ!」
絵里はお店のメイド服ではなく黒のゴスロリ服を着て、しかも露出がいつもより多い。
そして店内は絵里の好きなように作り替えられ、ダークな雰囲気を醸し出している。
熱狂的に騒ぐファンはまるで狂信者で、会場はサバトの饗宴なのか?
「メイド、見て頂戴!
私の眷属達による情熱と繁栄を」
絵里は両腕を広げると、うっとりした恍惚の表情で微笑みマイクにエコーをかけて自慢する。
すると会場一同は盛り上がって「おーー!」と歓喜の歓声が上がる。
「誰に許可得て、私の店をアンタのライブ会場にしたの?」
雪乃さんはお客さんに「どけ!」 と一喝して、掻き分けながら絵里の方に行くかと思いきや、隣にいる三笠君に詰め寄り凄い剣幕で彼の胸ぐらを掴みかかる。
「三笠ぁ! この有り様は何?
なんのためにアンタを1日店長にしたと思ってんの?」 と怒鳴りつける。
そんな三笠君はオロオロとした挙動で
「僕は夜の眷属だからエリザベートの喜びが
使命で、その使命を果たす為に……」
なんて、言い訳にもならない言い訳を早口で繰り返す。
「エリザベートがメイドやるなら、自分を執事にして下さいって頼んでおいて何? 何なの?
こんなザマになるなら、アンタなんていらなかったのよ!」
なるほどね。
絵里のお目付け役で三笠君を置いたけど、結局は彼女の言いなりで好き放題させて、お役目を果たさなかったのね。
店は滅茶苦茶、絵里のやりたい放題になっていたけど、これはこれで面白いものが見られたかな。
そして開店以来、一番の売り上げだったんだってさ。
数日後、店内には
従業員への店内でのナンパ、デートのお誘いは
お断り。 の張り紙が貼られたよ。
👺ゲーム天狗放送室! 道化のサムシング @1848818
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