ゲーム天狗への挑戦状 その2
天狗さんは『狼達の午後』 の常連チームに参加を要請すると言って、早速『夜の貴族』に連絡すると絵里から、そんな馬鹿げた事には付き合えないって、ハッキリ断られてしまった。
僕は『ホーリーブラッド』の三笠君に連絡を取ると、雨竜君がこの話に興味を持ってくれたようで『ホーリーブラッド』からは、雨竜君が参加してくれることになった。
次は『スクラップワークス』のリョウさんに電話をかけてみよう。
彼女なら、協力してくれるかもしれない。
「もしもしリョウさん」
「やあ間宮クン、どうしたんだい?」
「来週の日曜日に『狼達の午後』 の常連で、
チームを組んで『ノースノルド』 ってゲームセンターのチームと、対抗戦を行うんですよ」
「うんうん、それで?」
「3人でチームを組んでの試合なんですけど、各サークルから1人だけ参加なんですよ」
「なるほど、それでボクに声をかけてくれたんだね」
「はい、お願いできますか?」
「間宮クンも行くのかい?」 と聞かれたので
「はい」 と答えると、リョウさんも快く参加してくれると言ってくれたので、これで人数は確保できた。
あとは、紅美ちゃんが応援に来てくれるのなら、楽しい春休みになるのかなと思いきや、
『ルー デ フォルテューヌ』 は稼ぎ時になるから、紅美ちゃんは貸せないと雪乃さんが駄々っ子のようにごねてしまい、紅美ちゃんは
応援に来れなくなってしまった。
────────────
翌日、隣町のハンバーグレストラン
『ギックリモンキー』 でミーティングが開かれる。
店内に入ると、天狗さんはトイレに駆け込んだ。
どうやら最近、お腹の調子が良くないらしい。
動画配信ですぐにふんどし一丁になるから、
冷えてお腹を壊すんだよ。
店内を見渡すと、リョウさんと雨竜君はすでに来ていてテーブル席に座っていた。
「やあ、間宮クン」
「間宮君、来たね」
「すいません。
せっかくの春休みに無理言っちゃって」
「用事も無かったから、別にいいよ」
「こうやって、会うのも楽しいしね」
雨竜君が拳をつき出しすので、僕もそれに合わせてコツンと拳を合わせる。
2人とも協力してくれて助かるよ。
本当にいい人で良かった。
「面白そうな企画だよね。
間宮クンが考案したのかい?」
「いやぁ、会場になるゲームセンターの人から挑戦状が送られてきて……」
そんな会話をしていると、天狗さんがトイレから戻ってきた。
「2人とも済まないな。
来てくれた事、感謝する」
「えっ?! 天狗さん、どうも」
「こ、こんにちは……」
なぜだろう? 天狗さんが来ると2人の
表情が曇ったように見えた。
注文をオーダーしてから、KAZUYAの挑戦状の動画を2人に観てもらい、天狗さんが一連の流れを説明した。
「お主達、これが許せるか!」
「ハァ?」
熱く怒りをあらわにして語る天狗さんに対して、若干引き気味に見えるリョウさんと雨竜君
「そういう訳で、我とお主達で今回の試合に
挑もうと思うのだ」
雨竜君とリョウさんは無言で目を合わせる。
そんな沈黙の中、天狗さんはお腹を押さえて「厠へ行ってくる」 と言って、またトイレに立った。
天狗さんがトイレにたったので、チャンスを逃さない僕は2人にお願い事をしてみることにした。
「いやぁ。 代表の3人が決まったからさ、
試合の日、僕は行かなくていいよね。
良かったら、天狗さんに話してくれると助かるんだけどな」 と提案してみると
「いやいやいや、間宮君はいないと駄目だよ!」
「そうだよ!
間宮クンが行かないなら参加しないよ。
そもそもボクは、天狗さんがいるなんて聞いてなかったし」
「そうそう! 一年中天狗のお面被って、何考えているか分からない人だよ!
間宮君がいないのにそんな人と、どうやって一緒に過ごせばいいんだよ!」
「クリスマスの時だって、間宮クンが来るって言うから、1人で来るのかな? って思ったら
天狗さんがいたから驚いたよ」
「そうそう」
……………………。
普段は温厚な2人なのに、凄い剣幕で断られてしまい、僕の提案は儚く散ってしまった。
「会話が弾んでいるようだな。 うむ結構」
天狗さんがトイレから戻ってきて席に座ると、注文したヒーハーハーサラダが届いた。
天狗さんは、サラダをお面を着けたまま頬張ると、それを見て唖然とするリョウさんと雨竜君
まあ、僕も始めて見た時は驚いたよ。
口の動きに合わせてお面の口元が上下に連動するなんて、一体どんな仕掛けなんだ。
「そういう訳で、明日から我ら『狼達の午後』連合軍は試合当日まで練習を行う!」
苦笑いのリョウさんと雨竜君、どうやら2人は天狗さんが苦手なようだ。
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