急にモテだしたのは運命の出会い?それとも極振りのせい?

奏 隼人

第1話 新しいアプリゲーム




「あーあ…」



スマホを握り締め項垂うなだれる俺…



「もう今月は課金なんて出来ないよ…金ねーし…」




「おーい!ショボくれちまって…どうしたんだよ…光輝ひかる…!」



背後から俺の肩に手を回してきたのは同級生の必人ひっとだ。






俺は、貴良光輝きらひかる十七歳。高校三年生だ。今日は一学期の終業式に出た後、近くのショッピングモールのフードコートに寄ろうとしていた…




俺達はどうでもいい話をしながら目的のショッピングモールに着き、エスカレーターに乗って二階へ上がろうとした時だった…





「ううっ…」


「ああっ…」






急に目の前が真っ暗になり、息苦しさが俺達を襲った…

 



「な、何なんだ…これ…?」





生まれて初めての感覚…上手く言えないけれど、空間の歪みの中をくぐるような…空間の歪みって何かも知らないけど…


でも…その苦しさはすぐに無くなった…




「な、何だったんだ…?」



「さ、さあ…?」



「店員さんを呼んだ方が良いかな?」





俺が不安そうに言うと必人は面倒臭そうに

「えっ…ま、まあいいじゃん…何にも変わりなかったんだから…」とぶっきらぼうに言った。




「そ、そう…?」





そして俺達は誰もお客がいないフードコートへとやって来た…お店は全部開いているのに…




あれれ?…おかしいなあ?こんなに誰もいないなんて…




いくら平日とはいえ…こんなおかしい現状にお腹が空いていたせいか全く気にも留めなかった…




ファストフード店を見渡して…俺と必人はハンバーガーのセットを注文した…




「二番でお呼びしますのでお席でお待ちください…」


お店の制服の帽子を目深まぶかに被った

店員の女の子から二人共、ウェイティング・ブザーを渡されて席で待つ事になった…




「俺達…もう受験生なのにこんな事してて良いんだろうか…?」


「仕方ねーよ…まだ自分のやりたい事も決まってねーし…


それより…そのアプリゲームもう止めたら…

SSレアが当たるまでどんだけ課金するんだよ…


それより…コレコレ!」


必人はポケットからスマホを取り出してアプリの画面を見せてきた…



画面には沢山のアプリの中に混じって剣と杖が交差したデザインのアプリゲームがダウンロードされていた…


「これの方が面白いぜ!昨日リリースされた所なんだよ…


「君しか見えない!」


ジャンルはさ…新感覚RPGだって…職業はパラメータによって決まるらしいぜ!俺も始めたばっかなんだよ…


つまり力が強ければ戦士ファイター、魔力が強ければ魔法使い…レベルアップして両方が強くなってきたら魔法戦士バトルマスターとかな…



ま、やってみれば分かるよ…」



「でもロープレらしくない名前じゃね?


まぁ…良いけど…」



必人の勧めもあって俺はフードコートのテーブルに着いてそのゲームをダウンロードし始めた…

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