第19話 武闘大会

お前が彼女を連れていったんだな…どこへ隠したんだ?」


「これはこれは…人聞きの悪い…濡れ衣です…

何処に証拠が…」


「じゃあ…運営に聞いてみようか…?人のパートナーを連れ回している馬鹿な野郎はいねーかって?」



「なるほど…しかし…私もここで問答無用と刀を抜くのは少々分が悪い…


明後日…私は白嵐城の武闘大会に出場します…


そこで決着をつけませんか?


あなたが勝ったらあなたの望みを叶えて差し上げますよ…」



「…分かった!当ての無い街を這いずり回るよりは

そっちの方がいいかもな…じゃあ楽しみにしてるよ…」



「では…明後日…武闘大会で…


せいぜい頑張ってくださいね…」




長刀の青年はそう言い残してその場を去った…










僕は宿を引き払って白嵐城へと向かった…


丁度、城門の前で武闘大会の受付をしていた…


遠目にさっきの青年が受付を済ませてその場を去る姿を偶然目にした。


「あなたも参加希望ですか?」受付をしている兵士が声をかけて来た。


「あ…はい!よろしくお願いします。」


受付表をのぞくと、青年の名は主税、パートナーの名はミーコとあった…


一体、ルーシーは何処に行ってしまったんだろう…


何故、俺を一人残して…


色々な事が頭の中をよぎった…が、




頭の中が冷静になってくるに連れてとんでも無い事に首を突っ込んでしまったと自分自身を責める事になってしまった…



まず、ルーシーちゃんの手紙を読み返すと彼女は自分自身の意思で俺の元から離れた事が分かる…

運営に告げた所で恥をかくのはこちらかもしれない…


次に、あの青年は彼女について何か知っていることはほぼ間違いないが、今の俺が彼と武闘大会で闘うのは風車に向かっていくドン・キホーテのように馬鹿げていると言わざるを得ない…



あの長刀からして扱うのに相当な技量がいる事…

それを補うパートナーはおそらく熟練の魔法の使い手…死角のない相手に比べてこちらはパートナーは不在…武器は少量の回復が出来る杖…勝てる見込みはこれっぽっちも無い…


俺の武器と言えば誰よりも抜けた魅力…

これでモンスターを味方につけて一緒に闘うしか仕方ない…


それにはなるべく強いモンスターを探して仲間にするしかない!


俺は街で情報収集を始める事にした…


すると酒場で他の客が話していることが聞こえてきた…


「知ってるか…あのエルフの里出身の… 」


「ああ…あの黒魔法も使える…」


「そう…あの賢者が強いモンスターを集めているらしいよ…」


「また…姫様か…?」


「…なんで仲良く出来ないのかな?幼馴染で姉妹のように育ったのにさ…」


「さあ…?でもあの二人が協力したら武闘大会もブッチ切りで優勝間違いないのにな…」



俺はいつの間にかその話に首を突っ込んでいた…




「すみません…その話…詳しく教えて貰えませんか…?」











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