第25話 ガールズトーク その①

深夜…白嵐城に忍び込む一人の影があった…


「ゴメンなさい…お父様…お母様…」










「美味しいか?たくさん食べるんだぞ…」


「ワン!」


「こら…泣いちゃダメだって…見つかっちゃうだろ…」



「良いじゃないか…元気な証拠だよ…」


「で…リザ…?」「…ん?」


「なんで君まで宿に泊まるんだよ…」


「良いだろ…スーパー賢者のあたしが一緒に武闘大会に出てやろうって言ってるんだから…


「うっ…」


…確かに生半可なモンスターに手伝ってもらうより…リザに手伝って貰った方が…


これであの…主税って野郎とパートナーの差は充分すぎる程埋められた…


しかしあの長剣に対抗できるのか…?


俺よりも心配なのはあの姫様である…

守らなきゃいけない分不利になるのでは…



そんな事を考えていると…


…コンコン…!


部屋のドアをノックする音がした。




…何だろう…?まさか…ベロの泣き声が…他の部屋に…


「リザ…」俺の言葉に彼女は黙って頷いて、ベロを

シーツの中に隠してくれた。



「はーい!」用心しながらゆっくりとドアをあけると…


メイド服の女性が…


「お客様…ルームサービスでございます…」


と深々とお辞儀をしている…


「あ…いや…お、お部屋を間違えておられますよ…」


「いいえ…確かにこの部屋でございますわ…」


「こ、困ったなぁ…」


アタフタする俺の声を聞いたメイドさんは笑い出した…


「ウフフフフ…私ですよ…光輝…」

 

「そ…その声は…」「ジャーン!!」


顔を上げたメイドさんは…モナだった。


「な…な…何で…」


俺が驚くのも無理は無い…今まで拳法着の彼女しか見た事が無かった…それにリザから聞いた話では彼女は一国一城の姫様…


それにしても…一姫様がメイド姿だなんて…





「リザの分もありますわよ…はい!」


「うえっ!こんな服に着替えるのかよ…」


「仕方ないですわ…これが庶民の中に溶け込む術ですから…」



「光輝…着替えるから…見るなよ…見たら…即死魔法…」


「リザ…俺がそんな不利な闘いを挑む男に見えるかな…?俺は風呂に行ってくるから思う存分着替えてくれ!帰ってきたらちゃんとノックをするからな…宜しく頼む!」


俺は真顔でリザを見つめた…


「うむ…それが賢明だ…じゃあ…後程な…」


彼女も真顔で俺を見つめる…


…バタン! ドアが閉まるのを見てリザは着替え始めた…



モナはベッドに腰掛けた…綺麗にカールされた自分の髪を触りながら彼女は語りかけた…


「ねぇ…リザ…」


「ん…?何だよ…」


「光輝の事…好きなのですか?」



…ブウーーーーッ!!!たまらず吹き出すリザ。


「な、な、な…」顔を真っ赤にして彼女はモナを見つめる…

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