第24話 頼れる仲間達

「ふうぅぅっ…!」


その場にへたり込んで俺は大きなため息をついた。


リザは杖を光輝の手に向けた…


すると泥だらけだった光輝の両手は水の玉に包まれて綺麗になった。


「ありがとう…」


光輝の笑顔にリザは困ったような照れ笑いの表情を浮かべる…



…ワン!


「あっ!ベロ…!」


ベロはモナの腕をすり抜けて光輝の所に駆け寄って顔を舐める…


「お、おい…やめろって…あっははは…くすぐったい…ははは…」



モナとリザはニッコリ笑いあって自分の服の袖を破った…


そしてその布でモナは光輝の右手を、リザは左手を

手当てした…


「…き、君達…」



「か、勘違いしないで下さいね。ベロのために頑張ってくれたお礼ですから…」


「あ、あたしも同じだ…でなければ人間なんかにこんな事…」



「うん。分かってるよ…でも…ありがとう!」



光輝の笑顔を見た二人はドキッとして顔を紅潮させた。





「さて…と…」


俺が山を降りようとした…その時…


「クゥーン…」ベロが俺の足にまとわりついてきた…


「何だよ…ベロ…俺は行かなきゃならないんだ…

リザとモナの言う事を聞いて元気で暮らすんだよ…

じゃあな…」


「どうやらあなたの旅に付いていきたいみたいね…」


モナは呆れ顔で俺に微笑みかけた…


「こ、困ったなぁ…」


「こ…これからどうするんだ…?」


リザは光輝の背中越しに叫ぶように訊いた。


「うん…明日は…どうしても武闘大会で倒さなきゃいけない相手がいるんだ…そして救わなきゃいけない人も…


だからこれからまたモンスターを探しに行くよ…

手伝ってくれるモンスターをね…」



「あ、あたしが…」


「えっ?」


「あたしが手伝ってやるよ…ベロを救ってくれたお礼にさ…」リザはモナにウインクで目配せをした…


「しょーがありませんわね〜うふふ…リザがやるっていうなら私もお手伝いしても宜しいわよ…」



「なんか二人共、喜んでない…?」



「ま、まさかぁ〜アハハハ…」

リザとモナはハモってしまった。



「クゥーン…」ベロは身体をまた俺に擦りつけて来た…


「よしよし…仕方ない…宿に連れて帰るか…


でも…この子を連れて宿に泊まれるかなぁ…?」


「それなら大丈夫…!」


リザはベロに向かって杖を振り上げた。


眩しい魔法の光がベロを包む…


…あっと言う間にベロは掌に乗るくらいのサイズの

小さな身体になってしまった。


「ねっ!これならポケットに入れて宿に…ん…?」


「リ…リザァ〜!」




「や、やだ!アンタ…なんか…怒ってない?」



「そんな魔法が使えるなら何故最初からぁ〜!」



「わ、忘れてたんだよ…許せ…人間…」


「俺は光輝だよ…覚えとけ!バカ野郎…」


「あ、あたしは野郎じゃねーよ!ゴメン!光輝!」



モナは俺達の追いかけっこを見てお腹を抱えて笑っていた…ベロも嬉しそうに飛び跳ねている…




それは俺にとってルーシーがいなくなってから久しぶりに彼女の事を忘れていられた瞬間だった…


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