第23話 心の中のメッセージ
モナとリザは木の上の小さなモンスターを見た…
「リ…リス?」
「ゴメンね…頼むよ…」「キュピッ!」
リスのモンスター(♀)は仲間…数十匹を連れて現れた。
次々と思ったら仔犬の周りの木をかじって行く…
「これで大丈夫…あの子を引っ張り出すだけだよ…」
「本当か?」
「ああ…」
リザもモナもホッとしてその場に座り込んだ…
「そうだ!あの子の事…二人共詳しいみたいだけど…何があったの?」
リザは頷いて…ゆっくりと口を開いた…
「あの子…ベロはね…昔、お母さんを亡くしてこの辺りをウロウロしている所をあたしとモナが世話してたんだよ…」
「でも…モナは白嵐城のお姫様…毎日山に登るなんて危ないってお父様とお母様に怒られてね…」
リザはモナを見つめた…今度はモナが語り始める…
「仕方なくリザにベロの世話をお願いしたのですが…でもリザはちっともベロの顔を見にこない私に腹を立てたのか…学校でも私を避けるようになって…」
「そうだよ…ちょっとは顔くらい見に来たらいいじゃんかよ…」
「見に来てたよ…」 「えっ…?」
「皆んなが寝静まった頃、城を抜け出してね…
でも…見つかるといけないからエサをあげたらすぐに城に戻ってたんだ…」
「何で…何で言ってくれなかったんだよ…」
「言えるワケねーじゃん。」俺は二人の会話に口を挟んだ。
「えっ?」「……」
「何を考えているのか分からないまま…離れちゃったら…どう言えばいいんだよ…」
「確かに…そうだね…」リザは目を伏せて呟く…
「私も…言えなかったの…あんなに大切に思っている友達なのにね…バカだね…」モナも悲しそうに天を仰いだ…
「そうだね…きちんと話をしていたら今頃は…」
俺は自分の胸に確かに響く痛みのようなモノを感じていた…
光輝は二人に対して話していたメッセージだったが、心の中では…自分自身とある人に向けて話しているのを感じていた。
「キュピッ!」リス達は仔犬…ベロの周りの木を全部かじり取ってくれた…
「…ありがとう…さあ…ベロを出してあげようよ…」
俺はリス達が作ってくれた隙間に手を入れてベロを抱き上げようとした…その時…
「キャン!」「あっ!」
ベロの尻尾が地面と木の間に挟まっている…
尻尾を取ろうとすると木を一回り全部削り取らないと無理である…流石にリス達にも俺達にもそんな力も時間も無い…
俺は考えに考えた…そして…
「もう…もうこれしか無いよ…」
俺は手でベロの尻尾の下の地面を手で掘り始めた。
隙間が小さくて手が思うように動かないな…
「わ、私達に出来る事は無いの…?」
「べ、ベロを励ましてあげてよ…」
「わ、分かった…ベロ…ベロ…しっかりして…」
小石が混じった地面を少しずつ掘っていく…
「い、痛っ!」
見ると指先は血が
「か、回復魔法を…」リザが慌てて俺に回復魔法をかけようとした。
「バ、バカ…俺にかけるんならベロにかけてやってくれよ…」「う、うん…」
「クゥーン…」ベロは俺の顔を覗き込む…
俺はベロの目を見つめて
「大丈夫…絶対に出してやるからな…」
心配させないように微笑みかけた…
ジャリッ…ザクッ…ジャリッ…
指先の感覚はとっくに無くなっていても
俺は一生懸命地面を掘り続けた…
しばらくしてモナがベロを抱き上げた…
「大丈夫…無事に…出られたよ…ベロ…」
「よ、良かったね…本当に良かったよ…」
二人は涙を流しながら喜んだ。
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