第6話 初ピンチ!
女の子の柔らかさと爽やかな香りという人生初の経験に俺の身体は寒さだけではなく緊張でガチガチである…
しかし次の瞬間…ルーシーちゃんから意外な言葉が帰ってきた…
「光輝くん…もう遅くなってきたかそろそろ宿屋に行かない…?」
「は…?宿屋?」
ルーシーちゃんは海と逆の方向を指差した。
「ここからしばらく歩くと街があるの…取り敢えずそこまで行きましょう…」
「う、うん…」
とにかくここにいてもどうしようも無い…
彼女の言う通り街があると言われた方へ向かって歩き出した…
何も無い草原をしばらく真っ直ぐ進むと軽い下り傾斜になってきた。視界が開けた俺達の目に街の灯りが飛び込んできた。
「やった…これで宿屋に…あ…でも…お金が…」
「大丈夫ですよ…光輝くん…」「え?」
「初期資金とログインボーナスがあります…
だから美味しい物食べて暖かいベッドで休めますよ…」
「ホ、ホントに…?嬉しい!嬉しいよ…
あ、ありがとう…ルーシーちゃん…
何か…俺の女神様みたいだ…」
真っ直ぐ彼女を見つめる俺に照れ照れのルーシーちゃんは…
「もう!光輝くんたら!やだなぁ!」
…バシイッ! 「アタタッ…」
思いっきり彼女に背中を叩かれて前のめりになった僕はすごい勢いで下り坂を駆け下りる…
「ああ…光輝くん…」
「だ、誰か止めてくれぇぇぇぇぇ…!」
「ドッシ〜〜ン!」少し柔らかい何かにぶつかって
僕は止まることが出来た…
「ああ…助かりました…ありが…ぇぇぇぇ!」
「メェェェェェェ〜!」
…おっきなひつじのモンスターがあらわれた!…
「大丈夫ですかぁ〜光輝くん…」
僕の背後からルーシーちゃんの声が聞こえてきた…
「ん?」
…こっちに来ちゃダメだって〜!
と、とにかく今は装備も何もない…
三十六計逃げるに
(※逃げるしかねぇって事です…)
ルーシーちゃんの手を握って俺は全速力で走り出した…
…しかしまわりこまれてしまった…
うう…素早さに振っておいたら良かったか…?
とにかく…いまは戦闘で良いとこなんて一つも無いぞ…
…おっきなひつじのこうげき…
「メェェェェェェ〜!」
咆哮と共に羊はルーシーちゃんに向かって突進してきた…
「危ない!」
気が付くと俺は彼女の前に立ち塞がっていた…
「ドカッッッッッッ!」
当たり前のように俺は羊の体当たりに弾き飛ばされ数メートル宙を舞って草むらへと落ちた…
「光輝くん!!!」
ルーシーちゃんが駆け寄って来てくれた…
そして倒れている俺を抱き起こした…
「馬鹿!なんで私なんかのために…」
「だってパートナーじゃん。俺達…」
…体力にポイント全振りした割には一撃でもう立てない…そんなに弱かったのか…俺…
何とかしなきゃ…何とか…
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