第9話 タイミング

俺達はその日泊まる宿屋を探した…


やっぱりルーシーちゃんは元気が無く、俺の後をトボトボと付いてくる…


結構な店が満室で何軒かに断られたたが綺麗な女将おかみさんがいる宿屋が部屋を無理して空けてくれた…


お腹が空いた俺達は宿屋の食堂で食事を摂る事にした…


「お、美味しいね…」 「…そうね…」

 

「こ、これ食べない?」「…自分の分があるから」


俺達のテーブルに女将さんがお水を持って来てくださった…女将さんは俺の顔を見てニコッと笑って下さった…


「お替わりはよろしくて?気にせず申し付けて下さいね…」

 

「…大丈夫です…ありがとうございます!」



ルーシーちゃんと気まずくなっている時にこんな事を言うのもなんだけど…最近女性運に恵まれているような…


ああ…もう…こんな時に何を考えているんだ…俺は…


彼女の気持ちになったら…こういう時は優しくして欲しい…それしか無いんじゃないのか?



「ルーシーちゃん…さっきはその…」


「あっ…」


「お、俺…初めてだったんだ…」




彼女は耳まで真っ赤になって俯き加減で呟いた…



「わ、私も…」



「は、初めて同士だったんだね…俺達…


で、でも…俺…全然嫌じゃ無かった…


それどころか…嬉しかったんだ…」




「光輝くん…」


ルーシーちゃんは少し微笑んで呟いた…


「良かった…」



「あはっ!」彼女の笑顔に俺も嬉しくなって笑った…


「うふふふ…」彼女も笑顔と可愛い声で笑い出す…



「あははは…」「うふふふ…」




二人で笑い合ってなんか少し落ちついた気分になった…彼女も同じ気持ちなんだと思う事にした…



俺達は自分の部屋に帰ってゆっくりする事にした…




「ふう…なんか今日は色々あって疲れたなあ…


ベッドに寝転がる俺…






「光輝くん…」突然彼女が僕の名前を呼んだ…



「ん?どうしたの…?」



「ゴメンなさい!」 「な、何が…」



「やっぱり…謝らなきゃって…私…初めてだったんだけど…なんか…ヤキモチ妬いちゃって…」


「えっ?」



「嫌だったの…光輝くんが他のお姉さんとイチャイチャしてるみたいで…」



「…ゴメンね…ああいうの慣れてなくて断れなくて…ダメだよね…ホント…」



「違うよ…光輝くんは悪くないよ…私が勝手に…


付き合っているワケじゃないのにね…」



…ドクン…ドクン…ドクン…



こ、これは…も、もしかして…俗に言う…


『告るタイミング』


というやつでは無いでしょうか…?



自分の心臓の音が彼女に聞こえてしまうんじゃないか?と思うくらいボリュームはMAXになっている…


は、早く言わなくちゃ…



「ルーシーちゃん!あ、あのね…」


「ゴメン!ちょっと…お風呂に入ってくるね…

色々あって髪もボサボサで…


ほら…光輝くんの前だし…ね!」




「パタン…!」彼女は部屋を出ていった…




「い、言えなかった…」




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