第10話 過激なサービス

仕方なくルーシーちゃんを見送った後、自分の不甲斐なさに項垂れていた…


…コンコン! 


「あれ?ルーシーちゃん…忘れ物かな?」



部屋をノックする音に気づいた俺は


「はいはい!今…開けますね…」


立ち上がってドアに駆け寄った…



「あれ…?」ドアの向こうに立っていたのは…

宿の女将さんだった…


女将さんといってもまだ若くてスタイルも良い…


さっきまでルーシーちゃんとのやり取りがあったせいか女性がいきなり自分の前にきてドキンとしてしまった。



「ど、どうなさったんですか…?」


「うふふ…葡萄酒ワインでもいかが…?

よく寝られますわよ…」



「でも…」ルーシーちゃんにさっき釘を刺されたばかりなのに女性とお酒だなんて…


僕がルーシーちゃんの荷物に目をやって戸惑っているのを見た女将さんは…



「うふ…彼女さん…お風呂に行ったでしょ…?

少しだけ一緒に飲むだけだから分からないわよ…」

  


そうだ…こんな押し問答をしている姿を見られる方が話がややこしくなる…



「じゃあ…お言葉に甘えて…一杯だけ頂きます…」



俺は女将さんを部屋に入れて二人でベッドに腰掛けた…ワインをグラスに注ぐ彼女…



「はい…どうぞ…」 「…どーも…」


会釈をしてグラスを受け取った…



コクコクコクコク…プハァ…


「まぁ…良い飲みっぷり!」 



…な、なんだこれ…ワインって食前酒みたいなモンじゃないの…?せ、世界がグルグル回ってますが…



…バタッ…




そのままベッドに横になってしまった俺を眺める女将さん…


「あらあら…おやすみになられるの…フフ…」



俺のシャツを脱がせる女将さん…な、何を…

…だ、だめだ…意識が…













「何をしているの…?」







「…チッ…」


ルーシーちゃんの声に一瞬女将さんは眉間にシワを寄せた…そして取り繕うような笑顔で


「ド、ドアが開いていたから…お客さんに寝酒をオススメしただけですよ…」



「ふうん…シャツを脱がすのもサービス?」



「ゆ、浴衣に着替えさせて差し上げようと…


でもお連れ様が帰ってこられたのなら私の出る幕はございませんわね…


では失礼します…」


…バタン…



女将さんが部屋から出て行った…


どこか安心した俺にルーシーちゃんの声が心地良く響いた…



「光輝くん…大丈夫…光輝くん…」



そのまま俺は眠りに落ちてしまった…







次の朝…窓から射し込む白い光で俺は目を覚ました…



「スピー…スピー…スピー」



「すぴー…?…うわっ!」



俺の耳元で聞こえたのはルーシーちゃんの可愛い寝息だった…


…何で彼女が俺のベッドに…横に自分のベッドがあるのに…ああっ!


よく見るとルーシーちゃんの浴衣のあちらこちらがはだけて…め、目の毒だ…



俺はルーシーちゃんの向こう側のシーツを取ろうと手を伸ばした…あれ…?届かないや…



一生懸命に彼女の身体の上に乗り出すように手を伸ばした…も、もうちょっと…



…パチッ




ふと視線を下に移すと横になったまま目をパッチリと開けたルーシーちゃんと目が合った…


「キ…キャアァァァァァァァッ!」


「ち、違うんだルーシーちゃん!落ち着いて…!」









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