第17話 悲しい決断

ルーシーは道の側に光輝の身体を避けて膝枕の上で死んだように眠る彼の顔を眺めていた…


「どうしたらいいんだろう…私にはもう彼をどうしてあげる事も出来ない…戻る事も出来ない…彼を連れて白嵐の城下町まで行く事も出来ない…」


涙が光輝の頬に一粒、二粒と落ちていく…




「おーい!」




「はっ!」


ルーシーが振り返ると向こうから馬に乗った…光輝と同じ位の青年が手を振っていた。


青年はルーシーに駆け寄った…


「一体…どうしたんだい?血痕を辿って来たんだけど…何かあったの?」


ルーシーは一目もはばからず涙ながらに訴えた…


「実は…私のパートナーが…」


















「なるほど…君をかばって…」


「はい…彼を助けてください…彼を助けてくださるのなら私は何でも言う事を聞きます…」




青年はニヤリと笑って…


「ふうん…何でも…ね…」


青年は自分の馬の方を見つめて…


「ミーコ!」と叫んだ…




すると青年が乗っていた芦毛の白くて綺麗な馬は

眩しい光を放つと一人の綺麗な女性に姿を変えた。



「何か御用ですか?主税ちから様…」


「ああ…この者達を魔法で小さくしてこの先の白嵐の街まで運んでやってはくれないか…?」


「お安い御用ですわ…」


「それともう一つ…調べておいて欲しい事があるのだが…」


「何なりと…」











「う…うん…」


気を失った俺はベッドの上で目覚めた…

そうだ…俺は彼女と白嵐の城下町に向かっていて…



……!


ルーシー?彼女は…ルーシーは何処に行ったんだ?


俺はベッドから飛び起きて廊下に出ると下り階段を駆け下りた…


そこに宿屋のカウンターがあったのを見てここは宿屋だという事に気付いて、中の女性に「すみません…」と声をかけた…


「ああ…お目覚めになられたのですね…お連れ様からこれをお預かりしております…」と一通の手紙を渡された…



手紙を読んだ光輝は血相を変えて宿屋を飛び出した…







光輝くんへ



あなたがこの手紙を読んでいる頃…私は違うパートナーと一緒に旅をしています…



私にはあなたを…大切なパートナーを守る力はありませんでした。それどころかお荷物になってあなたを傷つけてばかり…


こんな私なんかより優れたパートナーをもう一度ガチャで引き直したほうが絶対あなたの為には良いと思います。


実はね…ガチャが引けるガチャコインがた〜くさん溜まっていたんだ…


でも私、勝手だからずっと黙ってた…



私の他に強いSSレアのキャラクターを当てて…

こんな弱くて面倒臭いキャラ…育成するの大変だから違うキャラに誰だってパートナーチェンジしちゃうよね…えへへ…



でも…私は出会ってから何日も経ってないけど…とっても優しくて思い遣りのある光輝くんが大好きだったよ。




どうかお友達を早く見つけて元の世界に戻って…

受験勉強…頑張ってくださいね…


こちらの世界からあなたの事をずっと応援しています…



じゃあね…私に優しくしてくれてありがとう…


バイバイ!               



               ルーシーより








宿屋を飛び出した光輝の眼前には大きな城…白嵐城がそびえ立ち、行き交う人々も様々な人種がいた…


しかし、今の光輝には何一つ目に入ってはいかなかった…


彼女の行き先の方向さえ分からずに光輝は空に向かって叫んだ…




「ルーシー…!」

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