アナンは風車を廻す

西暦二五二三年。赤道直下に位置するゴルトムント島には約千八百人の人々が住んでいる。五百年前「紫の悪魔」と呼ばれる疫病から、命からがら難を逃れた十九人のファーストビジターが住み着いたのがこの島の歴史の始まりである。
アナンとクリスは幼なじみだった。二人は婚約し、結婚後の計画や直前に迫った村の慰霊祭の出し物の準備に余念がない。そんな折、アナンの父アーロンは村の長老に選ばれる。
その一方、アナンは村に風車を作る計画を密かに練っていた。