となりのあの子がカワイイだけの話
梅星 如雨露
第一部 甘くぬるま湯につかったプレリュード
第1話 芹沢 美水希がカワイイ
隣の席の
日に焼けた褐色の肌は健康的でショートカットの髪形と相まって快活な印象。
手足がとても長く、水泳で鍛えている身体は引き締まってモデルのような格好良さがある。
高校入学当時から彼女は広く知れ渡っていて、校内でも一際脚光を浴る存在だった。なんでも中学の頃から水泳界隈では有名だったらしい。
彼女の中性的な見た目は、男女隔てなく惹きつけるようで巨大なファンクラブなんてものがある程だ。
まあ、男子よりも女子からの人気がすごいのでそのファンクラブに男が入るには特別な試験があるとかないとか……。
そんな芹沢さんはいつも気怠い雰囲気をまとっている。
毎日朝から晩まで練習に明け暮れている彼女の瞳は眠たげで、常に睡眠を欲している感じである。
今日だってほら、隣の席で芹沢さんは〝くーくー〟と寝息を立てている。
って!? 授業中に堂々と居眠りしちゃうのはまずいでしょ!
せめて教科書で壁を作るとか――いや、そういう問題ではないか……。
それに、よりにもよって英語の授業中に居眠りとか。
それはまずい。
とくに英語の教科担任は厳しく、寝ていることがばれたら大量の課題を出されてしまう。
水泳の練習で忙しい芹沢さんにそんなたくさんの課題を出したら、さらに睡眠時間が減って、もっと居眠りをするようになってしまうじゃないか!
そんな悪循環に芹沢さんが陥らないためにも起してあげないと。
気持ちよさそうに寝ているところ申し訳ないがこれも芹沢さんのためだ。
「せ、芹沢さん。眠っちゃだめだよ。起きて」
なるべく先生にばれないよう小声で彼女に声を掛けるけど起きるそぶりは見せない。
んん……やっぱりこんなんじゃ目を覚まさないか。
そりゃあそうだ。だってこんなに気持ちよさそうに寝息を立ててるんだもん。
……寝顔、可愛いな。
って、俺はなにを見惚れているんだ! 寝ている女の子の顔をじっと見るなんてデリカシーのないことを!
気を取り直して、ちょっとだけ肩を揺する。あまり寝顔をみないように、意識しないように。
「芹沢さん起きて。先生に怒られちゃうよ」
――へくち……。
揺すっても起きない芹沢さんは返事の代わりにくしゃみをした。
なにその可愛いくしゃみ。
そっと顔を覗くとそこには気持ちよさそうな寝顔の芹沢さんが。
ちょっとだけ口元がむにゃむにゃしてて小動物のような寝顔に思わずキュンとしてしまう。
あーだめだ、可愛い。
俺には無理だ。
こんなに気持ちよさそうに眠っている芹沢さんを起こすことなんて出来ない。
俺は自分の着ていたブレザーを脱いでそっと彼女の肩にかけてあげた。
いつも部活で忙しいんだもん。少しぐらい眠ったって罰は当たらないだろ。
先生に見つかっても多少は大目に見てくれるだろう。
そう自分を納得させて授業に集中することにした。
芹沢さんが寝ている間の授業内容を後でノートに取れるようにと。
「うーん……すき~……すきやき~……」
どんな夢を観ているのか、寝言も可愛い芹沢さんだった。
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