俺はこの道を歩み続ける。いつの日か神剣をも超える魔剣を打つために。
かつて魔物の王である《魔竜》を倒すため、異世界の地に多くの英雄が召喚された。その中のひとりは、魔竜討伐後に私的な理由で英雄として肩書きと名前を捨てルーク・シュナイダーと名乗り始める。
ただ彼は英雄として戦った責任、死んでいった仲間達に託された想いまで捨てたわけではない。
魔竜を撃ち滅ぼした神剣は、命を対価に強大な力を発揮する。
それは世界が危機に陥る度、誰かが犠牲になるに等しい。
犠牲が必要な時もある。しかし、犠牲が出ないことに越したことはない。
故にルークは、神剣に代わる《魔剣》――人が生きている限り回復し続ける魔力を対価に力を発揮する武器を作ると決意し、鍛冶職人としての道を歩み始める。
それから7年の時が経ち、徐々に戦いの傷跡が修復されていく中、ルークの家に駆け出し騎士であるアシュリー・フレイヤが通い始める。
そこにアシュリーの上司であり、戦友のひとりでもあるシルフィーナ・ラディウス。行き倒れていた灰狼族と呼ばれる獣人のユウ、魔石・魔剣専門の商人であるヴィルベルも加わり、ルークの日常はより騒がしいものへと変わった。
しかし、誰もが平和な時間を過ごしているわけではない。誰もが平和を求めているわけではない。
獣人であるユウを狙う奴隷商人、魔竜に対抗するため魔物の一部を移植された人間である《魔人》、過去の戦争技術を改良し暗躍する謎の組織がルーク達の前に立ちふさがる。
ルークは元英雄かつ魔剣鍛冶として、アシュリーは人々を守る騎士として、迷いながらも自分の道を突き進む。その中でルークとアシュリーはそれぞれの知らなかった一面を垣間見ることになり、アシュリーが一人前の騎士になったあかつきにはルークが魔剣を打つという約束をかわす。