★★★ Excellent!!!
坂本龍馬が残した本当の想いとは⁉ みかんあき
この物語は、幕末のころに坂本龍馬が関わった「伊呂波丸沈没事件」の裏側を描いたものです。
サラッと事件のことを書きますと、坂本龍馬が「伊呂波丸」に乗っていたのですけれども、これが船員の不慣れなどがあって、紀州藩の船と衝突。
そして、沈没してしまったのです。
この事件、坂本龍馬は当時まだ持ち込まれたばかりの「万国公法」を駆使し、紀州藩の責任だとをやり込め、多額の賠償金を得ることに成功しますが、八日後に彼は暗殺されてしまいます。
「龍馬アンローデッド―伊呂波丸事件異聞―」では、人気のある坂本龍馬ではなく、紀州藩側の艦長であった「高柳楠之助」を主役として、この事件を紀州藩から見たらと描いています。
これは、なかなかない試みだと思いました。
坂本龍馬の方が知名度もあって主役になりやすく、そのせいで事件はどうしても、龍馬側を正義として描きがちで、歴史の真実を正しく伝えていないように感じているからです。
紀州藩から見ることで、この事件の真相が良く分かり、幕末で何が起きていたのか、それまでにない角度の切り口が、この作品にはあって「なるほど……」と感嘆のため息がでました。
歴史。特に幕末が好きな方なら、きっと面白く読め、もしかしたら、自分が立っている国のことへ、祖先の方の熱い想いを感じられるかも知れません。