Ｖ国の憂鬱

飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進を続ける総合商社の西園寺グループ。
その総帥のある西園寺寅蔵の愛人の子として生まれた西園寺圭太。
寅蔵には正妻との間に圭太よりも年上の４人の男女の子供いて、皆、西園寺グループのそれぞれ会社の中枢を担っている。
圭太も大学を卒業すると西園寺グループの一員となったが、正妻の子供たちに疎まれ、遠い東南アジアのＶ国にある店に追いやられる。
若輩でありながら、不思議の第六感で会社の危機を秘書の弥七と運転手の銀子とで救う毎日。
そんなある日、ひょんなことから知り合いに連れていかれた店で、人身売買の組織から１０歳の薄幸の少女、タムとチャウをお金で買うことになる。
圭太はお金で人を買ったことへの自責の念に苛まれつつ、二人を育てていく羽目に。
圭太とタム、チャウの数奇な運命の歯車が今、回り始める。