第28話 断捨離

 博士は大体において何でもこなせる質だったが、片付けだけは苦手だった。

 片付けをさせるためだけに家政婦を雇おうともしたが、研究の秘密を知られて持ち出されては困る。なので専用のロボットを作ることにした。

 精巧に作った片付けロボットはよく働き、秀逸だった。


 その年の暮れ病気が見つかった博士は、入院する前に断捨離することに決めた。

 治療次第では長期化するかもしれず、暫くここには帰ってこられないかもしれないからだ。


 博士はロボットに、この家にある古くて要らなそうな物から処分するように設定した。

 設定が終わり早速スタートさせると、ロボットはぐるッと頭を一周させた。

 そして博士と目が合うと、博士を持ち上げシュレッダーに入れた。

 ガゴゴグゴッ

 と鈍い音をたてながら裁断された博士を、ロボットはゴミ袋に入れ、汚れた床の後始末もきちんと終わらせると


 完了しました!

 完了しました!

 と二回アラームを鳴らした──。

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