第16話 妻の本心
妻が買ってきてくれた新しいメンズシャンプーに変えて二週間。
匂いも洗い心地もいいが、前から気にしている抜け毛は減らず薄毛が益々酷くなっていってる気がする。
ただ職場の彼女とは薄毛になり始めてからの交際だったので、
「まーくんは薄毛でもかっこいいよ♡」
とあまり気にしてないのが幸いだ。
ある時終電に乗り損ねた俺は、
「残業で今夜は職場に泊まる」
と妻に嘘をつき、彼女との一夜を過ごした。
翌日の夜、帰宅すると妻は
『最近忙しくて大変ね』
と気遣ってくれ、良心がチクリとした。
直ぐに風呂に向かったが、寝不足と仕事でクタクタの俺は半ば朦朧としながらシャンプーをいつもと同じ量出して頭髪につけ泡立てた……が、いくら揉んでも泡立たない……。時既に遅し、毛髪が見事にズルリと束となって俺の手に。
その時扉を開けた妻が、脛毛用の脱毛クリームの箱をこちらに向け、
「少しずつで勘弁してたのに、あなたがお泊まりなんてするから。ケセラセラよ」
と嘲笑った。
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