第2話 チラシの誘惑
台風が過ぎた次の日のこと。
倒れた物干し台を起こそうとベランダに出ると、チラシの切れ端が物干し棹にくっついていることに気が付いた。
『にん○ん 1本 5○ 円 』
チラシは所々読めない箇所があったが、大好きな人参が安そうだったので、午後から車でここに向かった。
着いた先は大きめの建物。ボロボロの状態のチラシの切れ端を小太りの男の従業員に見せると、私の顔を見て、にやりといやらしく笑った。
「お客様は見る限り30代の前半でまだまだお美しいのに、もっとお若くなりたいのですね?」
そう言うと、書類の記入を求めてきた。
「野菜を買うのに書類が必要なんですか?」
驚いてそう聞くと、
「おやおや、これはにんげん 1体 50万円 と書いてあるんですよ」
「あなたはこれから我々と契約を結び、自殺志願の若者を騙し連れてきて、臓器は外国に、血は若返るためにあなたに還元するのです。残念ですが、この秘密を知ったので、もう逃げられませんよ」
そう言うと、私に何かを注射した──。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます