第25話 ──美咲──

 クラスメイトの美咲は可愛いだけでなく、背もスラリと高かった。そんな美咲は女子同士5人で教室の片隅に集まっては、理想の結婚について語ることも多かった。


 美咲は頭も良かったので、大学へ進学をし就職をし、そして何より子供を持つことをとても楽しみにしていた。

 自分の良い遺伝子を残したいという気持ちが人一倍強かったようで、自分より背の低い男は論外といつも言っていた。

 僕は、そんな美咲にひっそりと恋をしていたが、美咲より3センチも身長が低かったので告白など、出来る筈もなかった。


 それから時は流れ、11年後の春、僕の病院に彼女が現れた時には驚倒しそうになった。

 彼女は25で理想の彼に出会い、27で結婚をしたがそれから2年、待望の子供はまだ出来ておらず、それでうちへ来院したらしかった。

 あの美咲がここにいる──。

 僕の夢が叶うチャンスが、突然やって来た。


 2回目の診察で、僕は僕から採ったばかりの新鮮なそれを、彼女の卵子にそっと受精させ、体内へ戻した──。

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