第29話 隠れ鬼ごっこ

 転入生の早織の顔を一目見た時、小4の時同じクラスだった早織に激似だったので、喫驚した。

 同じ学年で幼馴染みの薫と有希が、早速この噂を聞き付けてやって来たので、私たちは体育館の裏で話し合った。

「「名前も一緒だし顔も似てるよ!あの早織じゃない?」」

 二人は口を揃えてこう言ったが、そんな筈はない。

 早織はあの日、私たちと隠れ鬼ごっこをしていて行方不明になり、翌日マフラーごと首を絞められ絶息した状態で大人に発見されたのだ。


 二日後、転入生の早織が近くの公園へ来るようにと、私に手紙を寄越した。


「……あんた本当は誰なの?」

『最近早織のノートに挟まれてた、あなたからの手紙を見つけたの。手紙には、このヘアピンお揃いよ、使ってねって書いてあったわ』

「……」

『あの子はそのヘアピンをあの日つけてて、握り緊めて死んでいたのよ。早織が自分で買ったものだと皆思ってたのに……。意味わかるわよね?私は従姉妹。さぁ鬼ごっこの続きをしようか?今度はあんたが逃げる番よ──』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る