第7話 次は私の番

 私はオフィス『アデリー』で働くメスのペンギン。お年頃なんだけど、残念ながらまだお相手はいない。

 というか昨年の繁殖期にペアになりそびれた。片想いをしている相手はいたのに……。


 今年こそはその彼(オス)とペアになりたいので私は上司に予約を申請した。


 わが社の規定には

『繁殖期には毎年同じオスとメスがペアになるが、もし繁殖期にそのメスが現れなければ残されたオスとペアになっても良い』

 と書かれているので、予約はすんなりと承認された。


 さぁ、ここからが本番。


 私は今年の繁殖期を待った。

 楽しそうにコロニーに向かう(彼とペアの)メスペンギンの後ろを追い、ちょうど岩場に差し掛かったところで、思いっきりお尻を嘴で強く突いて海に落とした。


 ファーストペンギンは、いつも仲間に突つき落とされる運命を利用して。


 その時ちょうど天敵のアザラシが通りかかった。


 彼女の血が海の飛沫とともに鮮やかに目の前に広がり、私は彼の元へ急いだ。

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