第8話 とある古城にて

 ここはドイツのとある古城。


 今から約290年前、ここに住んでいた城主とその妻、そして当時まだ10代だった美しい娘二人が親族間のトラブルにより皆殺しにされたことで、それからは市が管理している。


 俺はその市の観光案内課で働いて25年。

 日々、国内外から来る観光客を殺人のあった部屋に通して当時の物語を話している。

 そこには今でも、血の跡が微かに残っている。


 当時のことを想像するだけで毎日でも興奮できるので、俺はこの仕事を選んだ。


 同じ家族構成の美しい親子を見ると、俺の手が疼く──。

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