第6話 海苔

 冬季の短期バイトとしてここに来た高校生の彼女は、顔もその長い髪も美しすぎたのでわたしはとうとうこの時がやって来たのだと思いました。


 でも男のわたしが彼女に触れれば、わたしはここを辞めさせられるでしょう。だからネットで知り合った女性にそれを頼みました。

 彼女のバイトが休みの日に、街で彼女にヘアカットモデルのスカウトをしてもらったのです。

 えぇ、彼女は自身でも自分の美しさには気がついていたようなので、それを断りませんでした。

 その日のうちに彼女の艶やかな黒髪はわたしの元に届きました。


 それを丁寧に、海苔の原藻と共に製造機にかけました。ぐるぐる回りながら海苔は不純物を取り除き段々と形になっていきます。


 全ての工程を終え、出来上がったばかりの海苔を、わたしは壊さないようにそっと溢るる想いと共に抱き締め、彼女のために特別なパッケージに仕上げました。

 彼女はバイトの最後の日に、それを嬉しそうに受け取ってくれました。


 わたしは今夜もその特製の海苔に頬擦りをし、丁寧に噛み締めていただきます。


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