第13話 詩集

 この部屋に初めて遊びに来た彼が言った。


「ししゅう、みせてよ! 」


 そう、彼は私が趣味で書いているものの存在を知っているのだ。


「やぁだ、恥ずかしいじゃん……」


 私は彼に一目惚れした時から、その時々の彼に対する気持ちを詩として綴ってきたので、それらを見られるのは生きていけないほど恥ずかしい……。


「え?もしかして死ぬほど恥ずかしいとか思ってんの!? 」


「う、うん……」


「でも君に断る権利はないんだよ」


 彼は低い声でそう呟くと、キッチンにあった包丁を一瞬の躊躇もなく私の心臓目掛けて振り下ろした。


ザクッッッ!!!


 血飛沫が勢いよく飛び散り、私の意識は直ぐに混濁していった……。



「死臭、魅せてもらうね!! 」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る