第14話 私は私
私のお母さんは美人で、器用で何でもこなせる。
良家の子女で品もあるので、大学時代には凄くモテていたそうで、その中でも夫に選ばれたお父さんは長身のイケメンでとても優しい。というかお母さんに惚れ込みすぎていて頭が上がらない。そんなお母さんは私たち3人の子どもを溺愛してくれている。
ただ、最近都心のマンションに引っ越した時、それまで一戸建ての家で飼っていた愛犬を連れていくのは許さなかった。マンションではペット禁止だったし
『犬は犬よ』
と言って聞かなかった。
お母さんには、愛犬を家族の一員とはどうしても思えなかったらしい。あんなに可愛かったショコラを私に内緒で勝手に人に譲ったお母さんを私は絶対に絶対に許せない。私にとってショコラは間違いなく家族だった。嬉しい時も落ち込んだ時も、いつも側にいてくれた。
だから私は
『私は私』
と一言メモに書いて、ショコラの写真を抱き締めてマンションのベランダから飛び立った。
子供は他にお姉ちゃんと弟がいるから、私が居なくなっても大丈夫だよね──?
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