第4話 6秒ルール

『怒りを感じることがあっても、頭の中で6秒数えたら怒りが収まる』


 ということをSNSで知った。

 もちろん私は半信半疑。


 今度彼と久しぶりに会う日にこの話をしよう、彼はどんな反応をするのかな?


 4日後、私の部屋で食事を一緒に終えた後、このことを早速話すと彼も既に知っていた。


「本当に6秒なんて短い間に怒りは収まるのかなぁ?」と私。


「さぁどうだろうね?」


「ところでずっと言いたかったことがあるの……。

これから話すことを落ち着いて聞いてね。


私は他に好きな人が出来てしまいました。

ごめんなさい別れてください」


「マジか……」


 彼はよほど深いショックを受けたのか、6秒たつかたたないかのうちに、私の首に手をあて締めはじめた。


 ギリギリギリ……。


 低くて鈍いイヤな音をたてて、私の意識は遠退いていった。


 彼のすぐそばでこの話をするんじゃなかった。



 たった6秒で私は人生そのものを失ってしまった──。

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