第27話 俺の可愛い人面瘡

 金曜日の朝急いでいて、テーブルで左膝を強打した。

 その夜、風呂に浸かっていた時に、そこが青紫になっていることに気がついた俺は、風呂上がりにペンでそこに、少し顔を顰めた女の子の顔を描いてみた。

 なかなか上手く可愛く描けたので満足し、その日は就寝したが、翌朝膝の違和感を感じ目覚めると、その子がむにむにと口を動かしていた。

「ご主人様お早うございます」

『……!?』

「痛みは大丈夫ですか?普通の人は青痣を見ると嫌な顔をするのに、ご主人様は違った。こうして私を描いてくれて嬉しい!」

 明朗に話しかけてくるので、俺はこの子と外へ散歩に行きたくなった。


 早速ズボンを履き替えたが、人面瘡が苦しがるといけないので、俺は膝の部分に顔が丁度出る大きさの穴を開けた。

 少し不格好になったが、彼女との散歩は春色に満ちていた──。


 その夜、とても楽しい気分で風呂に入ったのだが、いつもの要領で全身を洗い、つい膝も一緒に石鹸で洗ってしまった。

 そのせいで薄くなってしまった彼女に急いで話しかけたが、もう応答は無かった。

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