第27話 俺の可愛い人面瘡
金曜日の朝急いでいて、テーブルで左膝を強打した。
その夜、風呂に浸かっていた時に、そこが青紫になっていることに気がついた俺は、風呂上がりにペンでそこに、少し顔を顰めた女の子の顔を描いてみた。
なかなか上手く可愛く描けたので満足し、その日は就寝したが、翌朝膝の違和感を感じ目覚めると、その子がむにむにと口を動かしていた。
「ご主人様お早うございます」
『……!?』
「痛みは大丈夫ですか?普通の人は青痣を見ると嫌な顔をするのに、ご主人様は違った。こうして私を描いてくれて嬉しい!」
明朗に話しかけてくるので、俺はこの子と外へ散歩に行きたくなった。
早速ズボンを履き替えたが、人面瘡が苦しがるといけないので、俺は膝の部分に顔が丁度出る大きさの穴を開けた。
少し不格好になったが、彼女との散歩は春色に満ちていた──。
その夜、とても楽しい気分で風呂に入ったのだが、いつもの要領で全身を洗い、つい膝も一緒に石鹸で洗ってしまった。
そのせいで薄くなってしまった彼女に急いで話しかけたが、もう応答は無かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます