第17話 再会
三姫と悠仁が付き合いだしてから、しらばく時がたったある日、しばらく音信不通だったエドワードから絵葉書が届く。
久しぶりだわ!何かしら?
これまでもちょこちょこと写真が載っている葉書が届いては、見た事のない景色に三姫は心を躍らせていた。 今回はどんな写真だろうかと葉書の裏をめくると、そこには東京に帰る日と到着時間だけが書いてあった。
嬉しいわ!東京に帰ってくるのね!!
三姫はすぐに悠仁に電話すると、悠仁もそのことをすでに知っており、話し合った結果、2人でエドワードを迎えに行くことにした。
ー再会当日ー
東京駅は変わらず大勢の人でにぎわっていたが、金髪碧眼の人物を探す事には何一つも苦労はなく、三姫はエドワードに向けて大きく手を振り、気付いたエドワードは2人のところへ 早歩きでくる。
「悠仁、三姫さま、お久しぶりです!あと、
おめでとうございます!」
エドワードが二人が恋人同士になったことを祝福した。どうやら社交界の貴公子である悠仁が初めて恋人を作った事実にショックを受けた貴婦人達が話を広めて、とうとう旅行中だったエドワードの耳にまで入ったらしい。
そんな遠くにまで広まるなんて...噂って恐ろしいわ......。
「そ、それにしても、エドワードさまは日本語がとても上手になられましたね!」
話題を変えようと思った三姫は、エドワードが片言で話してい他のを懐かしみながらほめる。
「旅館で一切英語を使えない環境に何か月もいましたので上達できました。」
エドワードはにっこりしながら説明する。
「ところでエドワード、お昼にビーフカレーでも食べにいかないかな?」
先程から2人で仲良く話している姿に痺れをきらした悠仁がいきなり割って入る。
「ユージーン!!ああ!お肉食べたくて仕方ありませんでしたー!ありがとう!!」
エドワードが旅館で日本食のみ食べて、そろそろ母国の味が恋しくなったのでは?と悠二は推測したが、その予想は当たりだったようだ。
3人はそのまま悠二が予約した銀座にある洋食レストランへに入り、それぞれが席につくと、ちらちらと近くにいる人たちがみてくるが、三姫はこの視線にはもはや慣れた。
全員がメニューを決め終わり、悠二とエドワードがカレーを頼むのを見た三姫も同じものを食べたくなり、「あっ、私もやっぱり、カレーにするわ!」と注文を変えると悠仁は即座に反応した。
「三姫がカレー?子供は食べれないよ?大人しく、オムレツにしておきなさい。」
「な・ん・で、私がカレー食べられないと決め付けるのですか!?あと、子供ではありません!!!店員さん、私もカレーでお願いします!」
ウェイターは、かしこまりましたと言い頭を下げると厨房へと去って行った。
「私はちゃんと忠告したからね。」
悠仁は悪戯っぽく笑うとお水を1口含んだ。
〜20分後〜
(か...辛い!!何、この料理!?)
ちらっと悠仁を見るが顔色一つ変えずに食べている。 その視線に気づいたのか、悠仁は三姫の方へ顔を向けた。
「どう?初カレーは?中々刺激的だと思わない?」
「 (絶対にわざと聞いてきていますね) ええ、初めて食べる味ですが...美味しいです!」
本当は辛い....でもでも、バカにされたくないから早く食べてしまいましょう.....。うっ辛い...。
三姫は涙が出そうなのを堪えながら、これでもかという速さでカレーを流しこみ完食した。
(い.... 痛い...)
カレーは辛いだけではなく、胃まで痛くするなんて.... 。早くお家に帰って横になりたいわ.... 。
「私、そろそろ失礼しますね。」
胃痛に耐えかねた三姫は立ち上がり帰宅しようとするが悠仁が送って行くと言い出した。 ここで断るのも不自然と思い好意を受け入れる事にした。
~馬車内~
「三姫どうしたの?」
「な、なんでもないです。」
「へえ~。でも、汗をかいているよ?」
「そ、そ、それは、カレーの効果です!」
はじめての刺激物に三姫の胃は荒れまくる。あのカレーに針が入っているのではないかと思うくらいに痛い。しかし悠仁に悟られまいと必死に笑顔を取り繕うが悠仁はやや呆れた顔をしている。
「はぁ.......強情だね」
悠仁はそうつぶやくと、向かいに座っている三姫を自分の元へお姫様抱っこで抱き寄せ、手を三姫の胃の上に置いた。
「これで少しは楽になるはず。」
悠仁の手は暖かく不思議と胃痛が和らいでいくように感じた。
「本当ですね。少し楽になります.....。ありがとうございます...(悔しいわ)」
「おや?素直でよろしい。だから、カレーはやめとけばと言ったのに~」
「悠仁さまが子供だって言うからです!」
「へぇ~じゃあ、なんでこの状態になっているんだろうね~?」
「も~う!悠仁さまの意地悪!」
馬車を操縦する御者は2人の会話を聞きながら悠仁の
「今日の昼食後は馬車を出来る限り揺らさず、ゆっくり運転して欲しい。」
という言葉を思い出し『若様は素直でいらっしゃられない』と秘かに思いながら運転した。
そんな気遣いがあるのを知らない三姫はふくれっ面をしつつも、馬車の揺れと悠仁の温もりに包まれると、いつの間にか目を閉じては夢の中へ旅立っていった。
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