第4話 晩餐会~3~



うっ・・・み、見られているわ!!


私が踊りだしてから数分すると、踊るのを見るのが初めてだからなのか西洋人と踊っているからなのか、絶賛視線を集めています!!


みんな特に女性!!私をそんなに見ないで~~!! 


お兄さまと悠仁さまだけでもきついのに、ここでも、また人目を引いてしまっているわ!!


「ダイジョウブデスカ?」


キョロキョロと視線をあちこちに回す三姫に気づいたエドワードがどうしたのだろう?と思い優しく気遣う


「イ、イエース!アイム・ファイン・サンキュー」


英語の教科書の最初の方に載っている例文を思いっきり使ってエドワードに返事をしてみた。 なんだか恥ずかしい気分がするわ。


「ベツニ ニホンゴ デモ イイデスヨ?」


「いえ、イングリッシュをユーズしてみたかったのです! そ、そういえば、どこで悠仁さまとお知り合いになったのですか?」


英語を使いたいと言っておきながらも即日本語を使う三姫にエドワードはどこか面白いと思った。


「ああ、ユージンとはダイガク デ シリアッタ ノ デスヨ」


「そういえば英国のケンなんとか大学へ留学してたとか言ってたわね。そうだったのですね。」


何を隠そう日本生まれの日本育ちの悠仁は数年前に、英国の名門校ケンブリッジ大学へ留学経験があり、頭脳はかなり優秀なのたが学問にあまり興味のない三姫は大学名すらほとんど覚えていなかった。


それから、エドワードは躍りながら三姫にイギリスの事を話し三姫はその話に魅了されていく。


後にエドワードは悠仁から三姫の事を色々と聞いており、一度会ってみたかった事を知る。


それを聞いた三姫は、この世に自分の事をほ~んの少しでも興味を持ってくれる男性がいることを知ると、それだけでご飯は三杯いけると思った!くらいに嬉しさを噛み締めた。


「じゃ、イギリスにはビッグ・ベンという高い建物があるのね?」


「ハイ、イチド ミニキテ クダサイ」


「そうしたいわ!」


楽しい!楽しい!本当に楽しい!今まであちこちの晩餐会に行ったけど、今日ほど楽しいと思ったことがないわ!


三姫は音楽が終わるまで始終ニコニコしながら踊っていた。



「楽しそうにしてるね。」


「あら悠仁さま何かおっしゃって?」


「あっ、ううん何でもないよ?それにしても、前回の紺色のドレスも素敵だったけど、今日のも似合っているね。」


「まあ!私の事覚えていて?嬉しいわ!」


悠仁に誉められた令嬢は今にも卒倒しかねないくらいに顔を紅くしては、自分は好意を持たれているのでは?と思い込み出す。


その令嬢からさらにうっとりとした瞳で見られた悠仁は内心、「1度見たものを覚えているだけ」と呟く。 それからも変わらず沢山の女性に話しかけられながらも、周りに気付かれない範囲で視線を嬉しそうに踊っている三姫に向けていた。


「三姫......うまくいかないものだね。」


甲高い声で喋る女性たちに囲まれた悠仁のつぶやきには誰も気付くものはいなかった。

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