概要
そんななか、病院にいた高貴だがそりの合わない女、渚月(ナツキ)と出会う。
自堕落を抜け出そうと躍起になる彼だが、彼の慕う祖父の死により、さらなる泥へと沈んでいく。
ひとつの話、ほぼ5000字以下となってます。多い話は分割しています。
注:この作品に登場する一切の団体、人物は実在いたしません。
性描写ありとしていますが、直接的な表現は美しくないのでなるべく避けました。そういうストレスはほとんどなく読めると思われます。
!転載はどんな場合でも許可しません!
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!陰鬱なのにきれいな作品
哲学的かつ芸術的。画家の名前が頻繁に出てくるのも象徴的です。モネを持ってくるのがらしいなと。
形のないものの正体を作品を通して見せつけてくるような、そんな雰囲気。
とりあえず、純文学的です。テーマ・メッセージ性、色々と重たくて、ほかにはない作品だと感じました。
細かく情報量の多い描写がいいですね。現実感があります。
反対に白/モノクロームを基調とした景色が、非日常を醸し出していました。その色彩が堕ちていく雰囲気にも合っています。
白が強調されているけれど、実に色彩的でもあります。無彩色と色鮮やかな部分、夜明けと夕焼け、コントラストがついていて、対比が美しいです。
そして納得感と…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人と人と、魂の物語。
カメラを趣味にしていた祐は、家族とのいさかいやこじれた人間関係のために、それを捨てた。大学生になってからは自堕落な日々を送っている。そんな折、病院で祐は美しい女性・渚月と出会う。ピアノをかつて愛し、今は絵を描き続けている彼女に祐は深い感銘を受ける。渚月への明確にできない感情を抱えつつも、祐は自堕落な己を変えたいともがき始める。
人間の光と闇をとことん描く文体が、まさしく人間ドラマだと感じました。祐は自他共に堕落していると言われていますが、渚月との出会いをきっかけに変わろうとしていく。祐だけではなく、周りの人間も当たり前ですがそれぞれの人間関係を抱えていて、そこから何かに向かって足掻いて…続きを読む - ★★★ Excellent!!!分厚い曇天の空の切れ間から、柔らかな極彩色の光が差し込む
作者様のタイトルとは意味合いが違うかもしれませんが、最後まで読んだ印象としてはこのキャッチコピーが頭に浮かびました。
人生、どこかで堕落してしまった人は多いと思います。自分もそうです。現在進行系です。なので、この主人公を見ていると、まるで鏡写しの自分を見ているようで胸が苦しくなりました。
最初の方はつらいかもしれません。でも、それでも先を読んでみてください。堕落した彼があがき、苦しみ、そして最後はどこに辿り着いたのか。最後にはきっと静かな感動が待っているはずです。
そして登場人物一人一人にまたドラマがあります。彼らがどういう経験を経てどう変化していったのか。それもまた、この作品の見所のひ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!誰もが愛されることを望んでいる。
ただただ、この物語は愛を語る。
キリストのような崇高な慈愛でも、釈迦のような崇高な愛でもない。
人が人を想うからこその愛。
それは、ときに醜く、自分勝手で、自らを破滅に追いやることもあるだろう。
けれど、いつかは想う人のもとへ戻ってくる。
この物語は、自堕落な自分を許せず、泥沼の愛の中に陥った主人公が、一人の少女と出会うことによって新たな愛を見つけていく物語だ。
その愛が、再び自らを破滅させてしまうものになるのか、それとも美しい、ただ相手を思いやるものになるのか、はたまた全く別のものになるのか、それはまだ分からない。
是非、あなたにもこの物語を読んでもらって、その結…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あなたとともに重ねる日々が、世界に色を与えてゆく。
繊細な感性と鋭い洞察力によって織り紡がれた、人の生き様を描く作品です。
主人公は善性が強く純真で、それがゆえに脆さを抱えた大学生。自己嫌悪と隣合わせな堕落した日々の中、祖父が入院している病院で出逢った女性が、彼に変化をもたらしていきます。
絡まりもつれた人間模様、うまくいかない人間関係、上辺だけでやり繰りしていた危うい日々は、ひとつの「死」によって崩壊してしまう。
どん底まで落ちたからこその、再起のはじまり。
運命の糸を辿って伝播するかのように、その日々は彼を取り巻く人々をもそれぞれの囚われから解放してゆく、切っ掛けになっていきます。
過程は平坦ではありませんが、ひとつひとつ丁寧に重ねられ…続きを読む