陰鬱なのにきれいな作品

 哲学的かつ芸術的。画家の名前が頻繁に出てくるのも象徴的です。モネを持ってくるのがらしいなと。
 形のないものの正体を作品を通して見せつけてくるような、そんな雰囲気。
 とりあえず、純文学的です。テーマ・メッセージ性、色々と重たくて、ほかにはない作品だと感じました。
 細かく情報量の多い描写がいいですね。現実感があります。
 反対に白/モノクロームを基調とした景色が、非日常を醸し出していました。その色彩が堕ちていく雰囲気にも合っています。
 白が強調されているけれど、実に色彩的でもあります。無彩色と色鮮やかな部分、夜明けと夕焼け、コントラストがついていて、対比が美しいです。
 そして納得感とそうくるかが混在する結末。終わった後にはため息が漏れました。
 光を見せておいて落とすところは落としてくるからこそ、よい構成だったと感じます。

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