陰鬱なのにきれいな作品
- ★★★ Excellent!!!
哲学的かつ芸術的。画家の名前が頻繁に出てくるのも象徴的です。モネを持ってくるのがらしいなと。
形のないものの正体を作品を通して見せつけてくるような、そんな雰囲気。
とりあえず、純文学的です。テーマ・メッセージ性、色々と重たくて、ほかにはない作品だと感じました。
細かく情報量の多い描写がいいですね。現実感があります。
反対に白/モノクロームを基調とした景色が、非日常を醸し出していました。その色彩が堕ちていく雰囲気にも合っています。
白が強調されているけれど、実に色彩的でもあります。無彩色と色鮮やかな部分、夜明けと夕焼け、コントラストがついていて、対比が美しいです。
そして納得感とそうくるかが混在する結末。終わった後にはため息が漏れました。
光を見せておいて落とすところは落としてくるからこそ、よい構成だったと感じます。