第2話 写真越しの自己紹介
自分を殺してくれるかもしれない殺人鬼たちの名前すら憶えないのはさすがに失礼ではないかと思ったひつぎは、さっそく同封されていた写真に目を通す。
どれも刑務所で撮ったような写真ばかり。といってもひつぎは刑務所で撮る写真なんか知らなかったが。黒と白のボーダーの囚人服に、それぞれポーズを決めている少年や嫌そうに顔を背けている青年、艶美に笑う中性的な人物や、困ったわねぇと言わんばかりの笑顔で頬に手を当てながら微笑んでいる女性などだ。それは計6枚入っていた。
そしてその写真の裏に名前と年齢、武器と注意書きが一言ずつ書かれていた。
まず、ピースをしてじょうろを片手に№1と描かれた手のひらを正面に向けポーズを決めている少年の写真を裏返すと。
次に嫌そうにカメラから顔を背けているカメラを遮る手に№2と描かれている黒いマスクと顔の右半分を黒い包帯で隠した青年。
ブレイク(?) 武器:不錆不壊の斧 ※大量殺人鬼
艶美に笑う年齢も性別すらも不明の人物。№3と描かれた手のひらを上げている。
おっとりとした笑顔で頬に手を当てて首を傾げている女性。もう片方の№4と描かれた手のひらを振るように柔らかく傾けている。
白交じりの黒髪をオールバックにして、逆十字架の下がったモノクルをつけた老年の男性。№5と描かれた手のひらを胸の前でかざしている。
黒い髪をツインテールにした、不満そうにカメラを睨みつけるひつぎとそう変わらない年頃の少女。№6と描かれた小さな手のひらをカメラに押し付けている。
簡単な紹介が書いてあるとは書いてあったが、簡単すぎる説明というか注意書きに若干げんなりしたものの。というか一人だけ意味不明な人がいたものの。ひつぎはほっと息をつく。じょうろと鞭はわからないが、どれもこれもひつぎを簡単に殺してくれるような武器ばっかりで安心した。斧なんて特に。贄だなんてとんでもない。これはひつぎを殺してくれる神さまの慈悲なのだから。
どうしたらゲームが始まるのかな、まだ始まらないのかなとそわそわしつつ足を一歩踏み出したときだった。
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