第24話 エピローグ

「やくそく、やくそく、やくそく。約束。あ……は……あははは、あは。あ。わた……し、ブレイクに名前の書き方教える……って」

「おやおやおや、壊れた心は戻らないはずなんだけどなあ。あーあ、まったくをもってつまんない。やってらんないよ。ま、いいや聖杯はここに置いとくね。それとブレイク、一応ひつぎちゃんを守ったから君の分も用意しといたよ。ひつぎちゃん、聖痕は現人神として覚醒した時点で消えてるから、後は好きにしてね。……っと、約束だっけ? 叶えられるようにこの空間、少しの時間残しといたからね!」


 ひつぎちゃんによろしくねー。そう言って無造作に聖杯と呼ばれる持っていた宝石で飾られた金の杯を2つベンチに置くと。再び濃縮した光の柱が天から落ち、そのなかに消えて言った神をブレイクは睨みながら。

 ブレイクは、力の抜けたひつぎを、光の粒子となり身体にまとわりついて消えていった翼を抱きしめる。こうしてみる分にはもうひつぎは背中の部分が少し破れてしまったもののただのアルビノの女の子にしか見えなかった。

 そのことに安堵した自分になんとなくむずむずした感触を覚えながら、聖杯をとってひつぎを揺り起こす。


「おい、ひつぎ。起きろ痴女」

「……ん、痴女じゃない。ブレイクは物覚えが悪い」

「それだけ言えりゃ上等だっつーの。てめえからやるか?」

「ううん、ブレイクからでいい……わたしは後でいい」

「そうか? じゃあ『永遠に誰を殺しても裁かれない権利』だ」


 ぽう……と聖杯が光って、何の前触れもなくどろりと溶けた。そして聖杯を持っていたブレイクの首にするするとのぼるとチョーカーの形ではまる。願いが完了した合図だ。ちなみに願いが完了した場合にはこれは粉々に砕けて散ることになっている。

 ほれ、とブレイクから聖杯を放り投げるように手渡された、ひつぎが願ったことは―――。

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