枳殻花に潮騒を（からたちばなにしおさいを）

無償の愛。それは究極の愛のカタチ。
けれど私達はそれを選ばない。
恋や夢の為、時に人を傷つけて、時に後悔しそうになって、時に諦められなくて——。

そうして生きた、六年間の成長と葛藤の記録。


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ほんの少しだけ宇宙開発の進んだ近未来。
早寧秋史(さねいあきふみ)は、学展で優秀賞を取るも、それをきっかけに絵が描けなくなっていた。
同じ美術部の上永月々美(かみながつつみ)はそんな彼を想いながら、何も出来ずにいた。
そんな中、陸上部で一つ後輩の枳殻美佳(からたちみか)が秋史に突然告白した事で、物語は動き始める。

描きたいもの。したいこと。欲しいもの。

ただ求めるだけの事なのに——。
彼らはその先にある苦悩を、徐々に目の当たりにしていく。