現在進行形の後日談2

 通報があったのか公式が見たのか。

 カクヨム公式から「その仕事乞食根性とメールアドレスをしまって両手を上げろ……さもなくば撃つぞ!」と、プロフィールの修正依頼が届き「クソ、俺に仕事もくれない権力に従ってたまるかよ! 自由社会だ!」と関係ないところで言いつつ、ちゃんと文面を消して丁寧に修正完遂連絡を報告し、「と、投降するからその利用規約をしまってくれ……だ、大丈夫だ、武器は何も持ってない。それどころか無一文だ……」と見事に両手を上げて、膝をついて屈した頃。


 口座の息の根が止まる寸前という感じの残高を死んだ目で見つめながら、俺は焼き肉へと来ていた。

 俺の無職を祝ってくれる会(自腹)である。

 かつてここまで嬉しくないお祝いがあっただろうか。いや、ない(真顔)

 そもそも字面がおかしい。無職とは祝うものでは……ない……!


 とはいえ、わざわざ肉を焼きたいというだけの俺の為に昼飯に焼肉を選んでくれた人達(二人)のため、たとえ文無しだって自腹は切ろう。当然だ。

 結果から言うと自腹を切りつつ、少し多く払ってもらうという微妙畜生ムーブでオチがついた。ありがとう、そしてありがとう。いや、マジで毎度ありがとう。

 まあ何にしても肉は良い。心の清涼剤である。


 二人とは古くも未だに続いているブラウザゲームで知り合った仲であるが、二人とも良い人だ。肉を食いたいと言ったら軽やかなフットワークで来てくれる。

 俺に技術が無いのが申し訳なかったが、派遣の話や勤めている自社の話もしてくれた。

 肉を堪能し、思いの外暇をつぶす場所がない東武練馬をぶらぶらした後、結局時間潰す場所が無かった為、俺は二人と別れ帰宅することにした。

 平和台でお買い物を済ませ、やはり死んだ目で財布の中身を見届けながら帰宅。


 その深夜、やっとNさんから連絡があった。社長とある程度の話はついた様子であった。

 ただ給料が出ると確実に申し上げてこない辺り、金関係は直接本人に言うと社長に言い包められたのだろう……と察する。


 後日談として、日記以外で綴れそうなことと言えば、残すは社長とのバトルと、職探しのどうこうか。

 後者はサイトからは封殺され、買ってきた履歴書に対して証明写真を忘れ、一歩も前進しないまま未だ暗雲立ち込めているものの、前者は近く片が付きそうである。

 

 激しいガチバトルになるのか、分割でも払うというため息で着地するのかはわからないが、進展があればまた記したい。


 6月の始まり。

 初夏の予感を感じさせる暑さと、焼肉の香りかおる中。

 俺の口座は未だ厳しい冬から抜け出せず、寒さに打ち震えるばかり。

 更には絶妙なタイミングでつかなくなった風呂場の電球が、この先の不安を暗示させるのだった……

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