現在進行形の後日談3

 改めて、Nさんから連絡があった。

 ただはっきりとわかったのは現状がまあ最悪だということである。


 どうも会社が真面目に立ち行かなくなっており、債務整理と自己破産の闇へと全力疾走をしているらしいという話が言い渡された。

 勿論、これは社長と電話か何かでのやり取りらしいので、社長がフカしている可能性もあるが、とにかく給料が出る見込みは少ないという話だった。

 どう言ったところで給料は出せないよという話と、「それならそれでちゃんと決めろ、バイトのアイツにも出せないなら連絡を取れ」という話をしたとのこと。


 うーん、堂々巡りである。俺がいた頃から話が1ミリも進歩していない。

 ちなみに、社長から俺への連絡は無かった。なぜだ……(当然)

 そりゃ連絡取ったら必然的に払う払わないの話になるしね。嫌だよね。俺だって嫌だけど、払って頂かないと生きていけないんだよ!!


 虚しいという言葉はこういう時に使うべきなのかもしれないな、と本気で思った。

 慕っていた社長と憎しみをぶちまけ合うことになるのは、俺だって嫌だ。

 だが金の切れ目が縁の切れ目。元々、だらだらと延命を続けていた報いは、ここで受けて貰わなければいけない。


 ただ、貰えそうな気配が無いのが実に困ったところである。

 給料の明細なども無いため、心底今ため息が出ている。


 別に俺は社長を訴えたいわけではない。

 法的手段など面倒だし、仮に法的に払えとなったところで、出せないものは出せないとなるだけなのが目に見えている。

 一応、法的根拠があれば国から支給される確率も上がりそうだが……。


 ***


 ちなみにこの間、母親とのネットバトルを済ませる。

 実家は福岡なのだが、母親は別居中で東京まで出てきている為、俺へのフットワークが軽い。

 あーだこーだとLINEで言い合うハメに。

 ここでやはり全てを片づけてから連絡すべきだったと後悔する。


 労基とのバトルや仕事探しという名のバトルを控える中で、親と金のどうこうで揉めるのは、やはり心理的負担がデカい。

 身から出た錆とはいえ、お休みを経てそこらの側溝程度に澄んできていた目の濁りが、片田舎のドブ川程度には淀んだものへと変わっていた。

 ていうか、今回の件って俺が悪いの……? いや、うん、自衛力の無い人間はカモにされるだけだよね……うん……ごめん、わりと俺が悪いかもしれない……。

 頑張ったのにね……何も残らないって悲しいよね……(胃痛)


 世の中は何と面倒なのだろうか。

 履歴書を書きなぐりながら、霞を食って仙人の如く生きていきたいなあと、知ってる天井を見つめる俺。


 どうにもならない仕事の展望を儚みながら、アホ底辺の夜は耽る――。

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