第7話 「修羅の門」



 月刊マガジンで連載されていた「修羅の門」という格闘漫画がある。この漫画のファンだったので、それが格闘ゲーム化されると聞いて、興奮し、発売日に買った。


 発売元は講談社。ゲームメーカーじゃない。自分のとこでソフト化したのか。ちょっとヤな予感がした。

 買って帰って早速プレイした。原作ファンのひいき目にみても、酷い出来だった。酷い出来を通り越して、もはやシュールですらあった。つーか、「これ、同人ソフトか?」という出来だったのだ。


 当時のゲーム仲間である友達に話したら、「是非持ってきてくれ」と懇願された。なんでも、週刊ファミ通のレビューで酷評されたらしい。あまりに点数が低くて伝説になったそうだ。なんとレビュー史上最低の点数を叩き出したとか。

 まさに「伝説のくそゲー」。それが『修羅の門』であった。


 当時メンバー五人ほどで結成されていたゲームをプレイする集団『月曜会』。まあ月曜日に集まってゲームしてるだけの活動だったのだが、この場にこの『修羅の門』を持って行った。



 ゲーム起動と同時に大爆笑。あまりにも酷いオープニング画面。じいちゃんが上半身裸で、手足動かしているだけ。演武のつもりらしい。


「まさか、これオープニングですか? ローディング画面じゃないですよね」

 もうここで爆笑だった。


 そして対戦の酷さ。キャラが動かない。効果音がヘボく、技が謎のモーション。

 イケメン・キャラ片山右京の必殺技『菩薩掌』は、原作では一撃で相手の目や耳から出血させる近接最強の打撃技だが、ゲームでこれを使用すると「ブー」というビープ音が鳴る。


 原作を知るトシッキーは「まあ、衝撃波を使う技ですから」と解説してくれたが、ログ夫くんは、腹を抱えて「いやこれ、クイズに不正解のときの音だよね」。


 しかも、敵の打撃を受けると、手足を骨折するシステムがあるんだけど、いやたしかに、原作では相手を骨折させる技が出てくるけど、なんか凄くプレーするのにストレス感じるし、しかもキャラ、骨折してもあまり痛そうじゃないし。


 主人公陸奥九十九の必殺技『龍破』は原作通り左右に飛んでから出すから、絶対に当たらないし。


 いや確かに、原作通りなんだけどさ……。



 とにかく、やればやるほど、みんなして腹を抱えて笑った。あんなに笑った格闘ゲームはない。そしてその後何年も、この二十一世紀になった今でも、「伝説のくそゲー」として語り継がれている。


 いまや、あの迷作を購入した&プレイしたことがある、はひとつのステータスである。

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