第15話 紙とペンによる殺人

 小説はやってもないことにリアリティーを出さねばなりません。よく言われるのが殺人ですね。これは経験が出来ないことだけど、プロの作家さんはリアルに書いてしまいます。なぜか? ひとつの理由として、余計なことを書いていない、かもしれません。それがどうして関係あるの? では、例文で表現します。


 バウムクーヘン殺人事件。犯人が使った凶器はバウムクーヘンだ。警察は犯人を詳しく慎重に調べている。なぜ、バウムクーヘンで老人を殺せたのか。調べている。


 これにリアリティーを出します。


 バウムクーヘンとは急いで食べると喉に詰まらせる。警察によると、被害者は自力で歩けなかった。寝たきりでもある。「いつ迎えが来てもおかしくない」それが被害者の口癖だった。


 この例文と修正文の大きな違いは、浮かび上がる状況のイメージが全く異なることです。少しずれますが、作者のイメージは高齢の被害者。バウムクーヘンで殺人、余計なことを修正するとこうも印象が変わります。これは実は上級テクニックです。一度、なぜ印象が変わったか考えてみるのもいいかもしれません。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る