第17話 書き出しの例

 美しいものと醜いものにはどういう違いがあるのだろう。人としての価値観が関わるのであれば、それは初めから違いはないのかもしれない。


 壷がある。汚くてくたびれた感じのそれは、どことなく価値を感じさせるのは僕だけだろうか。美しいものよりも汚い方がいい。


 哲学的な例文はどちらだと思いますか? この問いに答えはありません。ただし、こう書けば作品の印象はガラッと変わります、というわけです。なので、正解はありません。さらに問題提起する書き出しを書きます。


 美しいものは善、醜いものは悪。それは神話の世界にも通ずるのではないか。人である以上、無意識に価値を勝手に決めるのかもしれない。


 書き出しは非常に重要です。なので、あとは小説の中身なのですが、文章の緊張をどこでどうしたいのか? あるいは何を目的に書くのか? ハッピーエンド、バッドエンド、娯楽的、問題提起? などなど……。ひょっとしたら、書き出しですでに決まるのかもしれません。

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