覚書《リコルディ》~フィレンツェ宝飾職人の事件簿~

作者 橋本圭以

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★★★ Excellent!!!

 フィレンツェで起こる殺人事件。
 宝飾職人と警官、二人の視点で紡がれる物語です。
 登場人物は決していい人物ばかりではありません。むしろ悪いやつが多いです。
 ですが彼らが紡ぎ出す話は、時として殺人事件の解決から遠ざかっているようで真相に近づいていきます。
 特に気になるのが、八人委員会の存在です。
 彼らは敵なのか、それとも……

 無法地帯で紡がれる一風変わったイタリアンミステリー。
 是非とも読んでみてはいかがでしょうか?

★★★ Excellent!!!

皆さんこんにちは、ミケランジェロです。

自分は皆さんがよくご存知のミケランジェロではなくて、この小説に出てくるミケランジェロ(人妻マニア)です。

さてこの小説ですが、この僕ミケランジェロが中世のフィレンツェで推理に捜査に大活躍して、見事に殺人事件を解決するスリルとサスペンスの物語です!
今のはウソです……、僕は人妻好きの少年で、こともあろうに自分の義理の母親に懸想をして家を追い出され、花の都フィレンツェの宝飾職人ジャンニ親方のところへ修行に来ました。

そして今、フィレンツェでも貴族の人妻に恋をしそうになっています。

――父さん……、僕の性癖は一生治らないと、ここフィレンツェの都でも悟った訳で――

ちなみに今までの話は小説のメインストーリーにはほとんど関係無い話です。


さて事件のあらすじは大商家の老主人が教会で吊るされ、殺害されたことから始まります。
メインタイトルにもある「覚書」に秘められた謎でこの老主人は殺されたようです。

この物語の主人公の一人、僕の師匠である宝飾職人のジャンニ親方を紹介します。
とにかくジャンニ親方は口が悪くてズボラなオッサンで不真面目な中年男。恐ろしいことにフィレンツェ公であるコジモ様をアンタ呼ばわりする不届き者ですが、どうやら八人委員会というフィレンツェの警察機構に選ばれているようです。

そしてこのオッサン、失礼、ジャンニ師匠は犯罪捜査にうつつを抜かし自分の店を放りっぱなしにしているのです。

おかげで仕事の納期は守らないわ、フィレンツェ公から預かった大切なルビーを無くすわで、この僕が大変な目にあっています。
たまに仕事場にいるかと思ったらエロ本を読んでいるジャンニ親方、本当に当代随一の宝飾職人なのか疑わしい限りです。


そしても一人の主人公、僕はまだ会っていませんがレンツォさんという豪腕の刑事さんが出てきます。
元々不良少年…続きを読む

★★★ Excellent!!!

最新48話までを読んでのレビューになります。
ちなみに物語が佳境に入ってきて面白いところです。

普通のミステリー小説と違うのは、もちろんその時代性と舞台にあります。
誰もが馴染みのない世界観だと思うのですが、魅力的な風景描写、知識に裏打ちされた丁寧な時代説明、そしてなにより魅力的な登場人物により一気に世界に引き込まれます。
とくに登場人物は当時の市井の人々の生活、思考、などまでリアルに描かれており、とても読み応えがあると同時に魅力的な人物が多数登場します。

これらの人々をつないでいくのがミステリーパートです。
宝飾職人でなんともだらしない感じだけど、なにやら鋭い知性を感じさせるジャンニ親方。
若くて無鉄砲で、それでも正義感にあふれた警官のレンツォ。
この二人がフィレンツェの隅々まで歩き、走り、沢山の人と出会い、話を聞きながら、無茶したり、のらりくらりとしながら、そしてたまに危ない目にあいながら、殺人事件の真相へと迫っていきます。

張り巡らされた伏線を考える楽しみ、そこに暮らす人々の生活を垣間見る楽しみ、登場人物の人間模様が織りなすドラマの楽しみ。
それらを詰め込んだ骨太な物語でありながらも、軽快に楽しく読ませる文章力の鮮やかさも素晴らしいです。

物語はいよいよ佳境へ。
ぜひ連載中のうちに読み始めて欲しい作品です。

★★★ Excellent!!!

ミステリーファンには、ご馳走のような上質の正統派ミステリー。
物語が進行するにつれて、謎が謎をよび、いつのまにか中世フィレンツェの住人になったように物語の中に引き込まれる。

実際の登場人物と架空のキャラクターを上手く物語の中に登場させていてリアルな感覚を持たせている。

セリフまわしが、とても洒落ていて、作者の想像力の力量を感じさせる。キャラクターの設定も魅力的で、いつか一緒にお酒でも飲んでみたいな・・・などと思ってしまったほど・・・。

そして肝心なミステリーの構成。
文章にほとんど無駄がないことが素晴らしい!
読者への謎の問いかけが巧妙で、決して途中でやめられない。

情景や情感がとてもよく伝わり、格闘シーンのスピード感は映画を観ているよう。

ミステリーファンにはもちろんのこと、ミステリーはあまり読まない・・という読者の方々にも、超!お勧めの作品です。


★★★ Excellent!!!

とても面白い。★★★
数百年前のフィレンツェが舞台で、当時の貴族名などもそのまま登場し、臨場感抜群の背景をバックに書かれている。

ジャンニ、レンツォ、ミケランジェロの複数視点で話は進み、小さな事件の断片を繋ぎ合わせ、本命の事件に辿り着くスタイルだと思われる(7/14現在、その方向性は作中で示唆されていないので、私的な予想ではあるが)

登場人物の会話は、ネイティブが話すピーキーな口調では無く、映画の『日本語訳』的な印象。
こちらの方が日本人には馴染み深いので、その配慮が嬉しい。

ガツンと自説や思想をぶつけてくるような作品でも、斜め上から加速を伴って急展開が来る作品でもなく、ただただ純粋に正統派の文章で攻めてくる堅実な作品。

故に、作品の背景や登場人物、話の内容が面白いので、読んでいるうちに物凄く惹き込まれる。

この作者様の投稿作を読むのは初めてだが、こんなにも綺麗な文章を書く方がおられるのを知ると、さすがカクヨム、捨てた物じゃないなと改めて思う。