フィレンツェの彫金師(ムサいおっさん)と警吏(手癖悪い青年)が主役です

本編読了後のレビューになります。

16世紀のイタリア、しかもメディチ家が今まさに隆盛を極めんとしているフィレンツェが舞台という、ロマンあふれるミステリー。
しかし、その主役の二人が一癖も二癖もある人物なのです。

彫金師として一流の腕を誇る(はずの)ジャンニ親方は、自分の意に沿わぬ八人委員会(裁判官)に任ぜられ、本職も裁判官としての仕事ものらりくらりと逃げ回っています。
一方のレンツォは警吏をしている青年ですが、保管されている物品を骨董屋に横流ししたり、拘束されている人物に暴力をふるって脅したりと、清廉潔白には程遠い人物です。
けれども、事件の真相を追及しようという熱意だけは共通しているこの二人が、葡萄酒運搬人の男の死体を目にしたところから物語はゆっくりと動き出します。

初めはフィレンツェの街やその周辺で起こった数々の事件を、その関係者達のやり取りを通してゆっくりと描いています。
登場人物はかなり多いので、謎解きを楽しみたい方はメモを取りながら読み進めるのがおすすめです。

じわりじわりと膨らんでくる謎。親方やレンツォに迫る多くのトラブル。
ドミノのように次々と並べられたそれらの出来事が、最後には怒涛の勢いで折り重なって終着点へと辿り着く展開は圧巻です。

ミステリー好きな方はもちろん、ルネッサンスの光と影(物語では影の方が目立つような……)に興味のある方、人妻好きの方(笑)におすすめの大作です!

その他のおすすめレビュー

侘助ヒマリさんの他のおすすめレビュー479