正統派の堅実なミステリー作品!

とても面白い。★★★
数百年前のフィレンツェが舞台で、当時の貴族名などもそのまま登場し、臨場感抜群の背景をバックに書かれている。

ジャンニ、レンツォ、ミケランジェロの複数視点で話は進み、小さな事件の断片を繋ぎ合わせ、本命の事件に辿り着くスタイルだと思われる(7/14現在、その方向性は作中で示唆されていないので、私的な予想ではあるが)

登場人物の会話は、ネイティブが話すピーキーな口調では無く、映画の『日本語訳』的な印象。
こちらの方が日本人には馴染み深いので、その配慮が嬉しい。

ガツンと自説や思想をぶつけてくるような作品でも、斜め上から加速を伴って急展開が来る作品でもなく、ただただ純粋に正統派の文章で攻めてくる堅実な作品。

故に、作品の背景や登場人物、話の内容が面白いので、読んでいるうちに物凄く惹き込まれる。

この作者様の投稿作を読むのは初めてだが、こんなにも綺麗な文章を書く方がおられるのを知ると、さすがカクヨム、捨てた物じゃないなと改めて思う。

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